バルサアカデミーキャンプ、U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジ(通称ワーチャレ)を開催し、長年にわたり、海外チームと日本サッカーをつないできた仕掛け人、浜田満さん。2020年7月23日から始まるアルティマリーグスポンサーの1人です。
世界と日本の育成についての著書も多数ある浜田さんから、アルティマリーグをどうとらえているのか、日本の高校サッカーの可能性をうかがいました。
(取材・文/水下真紀)
浜田満 代表取締役社長
奈良県生まれ
一条高校サッカー出身
関西外国語大学卒業
食品メーカー、商社、在ベネズエラ日本大使館勤務等を経て2004年にFCバルセロナソシオの日本公式代理店として独立。
海外と日本のサッカー育成事情とサッカービジネスに詳しく、『サッカービジネスほど素敵な仕事はない』(出版芸術社)、『世界で通じる子供の育て方 サッカー選手を目指す子供の親に贈る40のアドバイス(徳間書店)』、「ゼロに飛びこんでイチを作る FCバルセロナとのビジネスから学んだ未来の開き方」、『FCバルセロナの人材獲得術と育成メソッドのすべて(訳書)』などの著書がある。
進路の選択肢は多い方がいい
ーー久保建英選手のバルサCANTERA入りをサポートしたことでも知られている株式会社Amazing Sports Lab Japanの目から見て、アルティマというリーグはどう見えていますか?
浜田 満 代表取締役社長
おもしろいアイデアだなと思っています。海外のスカウトから見ると、日本のサッカーの仕組みって非常にわかりにくいんですよ。どこを見たらいい選手がいるのかわからないんです。高校サッカー選手権も、48校も出てきたらどこを見たらいいかわからないし、J下部の選手は契約上の問題で、簡単には声をかけられない
海外クラブも、日本人選手は欲しいなと思っているんです。僕も高校のサッカー部の強化を手伝っている関係で、実際に何人か欧州へ連れて行ってクラブに見せていますが、すごく評判がいい。でも、海外クラブのスカウトにしてみたら、仕組みがわからないから、どの試合を見ていいかわからないんですよ。
そういった意味で、アルティマリーグは非常に良いですね。トーナメントではなく、リーグだというところもいい。トーナメントだと勝ち進みたいから、相手の良さを露骨に消しに行ったり、伸び伸びとは程遠いところでプレーしなくてはいけない場面もあるかもしれない。でもアルティマはプライベートリーグです。いつもは出てこないけれど、監督が試しに使ってみたい選手が出てくることもあるだろうし、一発勝負でのトーナメントではやらない戦い方をしてくるかもしれない。
ただ、練習試合なら普段からいろいろなところでやっているでしょう。なんとなくやっていれば単なる練習試合になりかねないからこそ、いろいろな可能性がありそうな気はしますね。そんなアイデアを形にするお手伝いができたらいいな、とスポンサーになることにしました。
選手の可能性を広げるアルティマ
アルティマの価値を高めるには、例えばですよ、我々の方から海外クラブのスカウトに声をかけてオンラインもしくはアーカイブの映像で試合を見てもらえばいいんです。選手の質も良くわかります。アルティマだからこそできることですね。トップレベルの学校しかいないのはとても良いことだと思います。
あるいは、アルティマ優秀選手を集めて海外の大会に出てもいい。日本にも選手権後に、日本高校選抜が欧州へ行きますが、アルティマ選抜もいいじゃないですか。そのほか、アルティマMVPを海外のクラブトライアウトに招待するとか、実際にスカウトに来てもらってリーグ戦をするのもいいですね。
もうすでに海外から声がかかっている子はそれでいいんですよ。ただ、質は高いのに、無名の子が高校サッカー界にたくさんいると思うんです。今回はオンラインのLIVE配信を導入するということで、全世界のスカウトがより見やすくなる環境はあると思いますね。
それによって、高校サッカーの出口の幅を広げられたらいいなという思いがあります。
海外クラブのスカウトからしてみたら、日本のサッカーの仕組みがわかりにくいのはなぜか。その原因は、「部活」の存在にあります。「クラブチーム」って言ってしまえば「ああ、そうか」ってすんなり入ると思うんですよ。海外クラブに高校サッカーの仕組みを説明すると、「学校のチーム?強いのそれ?」みたいになるんですよ。海外には普通の高校の課外活動からプロが生まれるなんてことはないので、高校の課外活動がプロ育成をしているなんて、日本人にしかわからない感覚です。そこが彼らには想像できないところなんです。
人材の交通渋滞を緩和したい
選手権もプレミアリーグも、海外のスカウトにしてみればどこに注目すべきかわからないという状態の中で、日本の高校サッカーの出口は非常に狭いものになっていると思うんです。
毎年の高校サッカー部やJ下部からの卒業者数と、国内の進路先であるJクラブ、JFL、大学サッカー部、社会人チームなどの入団選手数を比べてみればわかります。U-18からU-19へ移り変わるところで、選手数は一気に減るんです。サッカーを辞めてしまう子が多数いるわけです。
高校から狭き門を通ってJリーグへ行くと3年契約が主流です。そして、初年度公式試合に出られる選手の数は多くない。すると何が起こるか。長い期間公式戦に出られないとその選手自身のレベルが落ちてしまうんです。もったいないことです。人材が交通渋滞しているんですよ。プレーヤーの数に対して出口が少なすぎる。
僕は奈良クラブというJFLチームの代表もしていますが、アルティマに対しては、いい選手をたくさん見たいというスカウトとしての目線も持っています。アルティマは高校年代最高峰のリーグになる。このリーグは非常に見るメリットのあるリーグです。ぜひ応援したい。U-19への出口を広げるためにも、ぜひ選手たちには頑張ってほしいと思っています。
伸び伸びプレーする姿を見せてほしい。
ーー高校生たちへのメッセージをお願いします。
浜田 満 代表取締役社長
まず、練習試合であっても、公式戦であっても、常に誰かが見ていると思ってください。誰かというのは、Jリーグのスカウトかもしれないし、大学のスカウトかもしれない。海外のスカウトかもしれない。常に100%でプレーしていない選手が、たまたまスカウトが見ている試合で100%でプレーしていたということはなかなか起こらない。見られているという緊張感をもちながら、サッカーを楽しんでください!自分のリミットを決めず、伸び伸びとチャレンジしている姿が見られたらいいなと思っています。頑張ってください。
株式会社Amazing Sports Lab Japan
株式会社Amazing Sports Lab Japan
代表取締役社長 浜田満
事業内容
バルサアカデミー、エコノメソッドスクールなどのスクール事業
バルサアカデミーキャンプ、エコノメソッドキャンプなどのキャンプ事業
U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジ主催、海外遠征・留学事業
アメージングアカデミー事業、クラブ運営事業
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