(Photo:藤枝順心サッカー部)
藤枝順心高校サッカー部が、試合前に行う円陣の合言葉は「順心No.1!」。
では、No.1になるためにどのような目標を立て、その目標を達成するためにどう検証しているのでしょうか!?
藤枝順心高校サッカー部(以下、藤枝順心)よりいただいた資料をもとに、その秘密にせまります。
※この記事は2020年5月に執筆したものです。
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チャレンジ⇔修正の繰り返しが勝利を生む
選手権優勝を成しとげた2019年度の3年生は、1年生の時に夏のインターハイで準優勝、冬の高校選手権では優勝と歴代のチームの中で一番の好成績を経験しています。その選手たちが最高学年になった時に掲げたスローガンは、「順心世代最強」という当時のチームを上回りたい気持ちを表したものでした。しかし、満を持して臨んだインターハイでまさかの初戦敗退。今季のチームは「最強」ではなく「最弱」と言われることもあったそうです。
それが、今季のチームの集大成となる高校選手権では、2年ぶり4回目の優勝を果たすことになります。
いったい、インターハイの敗戦から選手権で優勝するまでの間に何があったのでしょうか?
チャレンジ→失敗→修正 のローテーション
藤枝順心では、常に、チャレンジの過程でうまれた「うまくいかないこと」、「できないこと」、「失敗したこと」をそのままにせず、その都度修正する作業を何度も何度も繰り返し行うようにしているそうです。選手権で優勝を成し遂げられたのも、インターハイに強い気持ちを持って臨む(チャレンジ)→初戦で敗退してしまう(失敗)→敗戦の原因を改善する(修正)という、『チャレンジ⇔修正』を常に行う習慣が実を結んだといえるかもしれません。
検証は日単位、年単位
また、藤枝順心では、1年の終わりに必ず全員でその年の成果を確認し、反省点を洗い出し、次の課題を定める振り返り作業をおこなっています。日々の『チャレンジ⇔修正』と、年単位での『チャレンジ⇔修正』という、ミクロとマクロの二つの視点からの『チャレンジ⇔修正』が、チームをより高みへと押し上げる結果に繋がっているのかもしれません。
そして、『チャレンジ⇔修正』を妥協せずに追及していく姿勢を持ったチーム(選手)に成長できたのかどうかを見届ける事で、立てた目標が達成できたのか否かを判断すること(目標の検証)ができたとも言えるのではないでしょうか。
2019年度のチーム(選手)は、それを選手権の優勝という素晴らしい結果をもって見事証明しました。
実際にどうやっているのかを見てみましょう。
選手たちを導く11の教え
藤枝順心では、選手たちの心身をともに鍛え、豊かな人間性を養うことを目的として、以下の指導方針を掲げています。
- 具体的な目標を立て、それを達成できるための努力ができる
- 自分に打ち勝ち、また、自分をチームのために犠牲にできる
- 互いを励ましあい、また、注意し合えるチームワークを作る
- 礼儀を大切にし、節度ある行動がとれる
- 公共物(グランド・部室・用具等)を大切にする
- 基礎体力を強化する(継続的・計画的なフィジカルトレーニングを行う)
- 健康管理ができるようにする(食事や睡眠など、生活にも気を配れるようにする)
- 怪我の予防と怪我の後の処置を自らできるようにする
- 基本的な技術を身に付ける(蹴る・止める等のスキル練習を徹底して行う)
- 個人・グループ戦術を習得する
- 個人・チームとして課題を持った試合を行う
その指導方針が実際にどの程度達成できたのか、新しい課題は何か、毎年検証を行っているそうです。
次の章で、その具体例を示します。
練習⇔実践
藤枝順心では、
◎ 個人・グループ戦術を習得する
◎ 個人・チームとして課題を持った試合を行う
という目標を実現するために、次のように練習と試合の関係をとらえています。
個人やグループ戦術を習得する練習の場として個人やチームとして課題を持った試合があり、試合の反省から個人やグループ戦術を習得する練習をどう行うのかを考えています。
この流れや考え方は選手にも定着し、年間を通して実践しています。
(引用:藤枝順心提供資料)
試合には様々な試合があり、対戦するチームやマッチアップする選手も様々です。また、一つの試合の中でも目まぐるしく展開や状況が変わって行きます。そういった様々な試合での状況を的確に掴み、その状況に合ったプレーを判断し実行するためには、高くて豊富な(多くのバリエーションがある)技術と戦術が必要になるし、それを発揮できるためのメンタリティも必要です。
さらに、試合前では先を見据えてよい準備をし、試合中には展開や流れを読んで、次のプレーや相手のプレーを予測するといったことも必要です。
その総合的な能力を「対応力・適応力」や「打開力」といった言葉で選手に伝えながら、トレーニングや試合、さらにはオフザピッチにおいても、選手とチームがその獲得を目指して取り組んでいるそうです。
また、全国大会でも、相手チームを分析し、そこからどのように戦うのかということを選手自身が考えて試合に臨みました。そういった取り組みの中、選手一人一人が理解し、結果として少しずつチームとして機能し発揮できるようになりました。そして、ここぞという試合でそれが出来るようになったことが、今年度の成績に繋がっていると思います。
(引用:藤枝順心提供資料)
『練習⇔実践』を繰り返すことで、少しづつ目標に対する選手一人一人の理解が進んでいった手応えを感じられるようになれば、それが良い結果に繋がってくるという一例ですね。
(Photo:藤枝順心サッカー部)
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チームのためになにができるか
サッカーはチームプレーであり、チームの中でいかに自分を生かせるか、貢献できるかが大切です。全員が、試合の中だけでなく、普段から自分をあえて犠牲に出来る強さや勇気を持たなくてはなりません。
一人でも自分勝手なプレーや自己中心的な言動をとってしまう選手がいるとチームは簡単に崩れてしまうので、このことの重要性をこれまで以上に強調して、チームとしての一つ大きなテーマとして取り組んできたそうです。
また、一人では乗り越えられないことも、同じ思いを持つ仲間がいれば可能になります。時には励まし合い、時には厳しくし合える、お互いに信じられる仲間、チームを目指すために、時としてチームや仲間のために、あえて厳しくできる選手(人材)を望んでいるそうです。
(Photo:藤枝順心サッカー部)
本気で目指せば夢は叶えられる
部員各々が満足できる部活動にしたい。
そのために、一人一人が目標(夢)を持ち、本気でそれに向かえる(目指すことができる)環境を作りたい。
そんな気持ちで、藤枝順心の指導者の皆さんは選手たちに接しているそうです。
そして、本気で目指せば叶えられるという経験をさせたいと願っています。
2019年度は最後の大会である高校選手権で優勝し、それを叶えることができました。
努力すれば結果が伴うことばかりではありませんが、成功体験は、サッカーだけでなくこれからの多くのことに、大げさに言えばあらゆる今後の人生に生かせるものとなるのではないでしょうか?
本気で目指した目標(夢)を叶えたことは、選手たちのこれからの道標と財産になることでしょう。
(Photo:藤枝順心サッカー部)
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最後に
超強豪校が超強豪校であり続ける理由、それは「当たり前のことをひとつひとつ丁寧に行うことがより良い結果を生み、新たな課題も見つけながら前進していく」ということなのではないかと思いました。
一見シンプルなようですが、それをぶれずに強固な意志を持って続けられることが実は難しいのではないでしょうか?
これからも藤枝順心の皆さんが、高校女子サッカーの牽引役としてご活躍されますよう応援しています!!
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