体内時計を整えることはとても重要です。
体内時計を整えることは、質のいい睡眠をとる方法と同じです。
また、睡眠により免疫力を高めることは前編でお伝えした通りです。
前編の『免疫力アップと睡眠の関係』『サッカーや勉強と睡眠との関係』や『睡眠のしくみや重要性』を踏まえ、睡眠コンサルタントと睡眠健康指導士初級の資格を持つ私から、今回の後編は『質のいい睡眠』をとるためにできることを12個紹介しようと思います。
ここまでは、前編をご参照ください。
質のいい眠りのためにできることは?
『質のいい眠り』とは、睡眠時間の問題ではなく、布団に入ったら速やかに入眠でき、そして寝入ってから約3時間の間に深いノンレム睡眠に達して成長ホルモンが分泌され、途中で目覚めることなく脳も体も休ませることができることです。朝起きた時に『ぐっすり寝た』という満足感を得られます。
実際に寝付きを良くしたり、睡眠の質を上げたりするにはどうすればいいのでしょうか?
こんなにたくさん、できないよ~と言わずに、できそうなことから少しずつ試してみてみましょう^^
また、この順番通りでなくて大丈夫です。
既にみなさんが実践していることもいっぱいあると思います。
(項目をクリックすると、説明文に飛びます。)
赤字の項目は、乱れがちな体内時計を整えるのに特に有効です。
- 毎日同じ時間に寝起きしよう!
- 朝日を浴びる!
- セロトニンの合成に必要な栄養素を摂る!
- 朝食を食べる!
- 昼寝をするなら、15時までの20〜30分!
- 夕食は寝る3時間前までに食べる!カフェインは4時間前まで!
- 夜、お風呂に入ろう!
- 寝具は立っているときの自然な姿勢をそのまま保てるようなものを選ぼう!
- 寝室を整えよう!
- パジャマを着よう!
- 眠りに就く前は強い光、特にブルーライトを浴びない!
- 心や体をリラックスさせる方法を試してみよう!
1. 毎日同じ時間に寝起きしよう!
寝だめはできません!
平日の睡眠不足を休日に補おうとお昼まで寝るのはNGです!
体内時計が狂い、いわゆる「時差ボケ」になり、かえって体に負担がかかり疲れます。
そして、月曜日の朝がつらくなる「ブルーマンデー」となってしまいます。
休日ゆっくり起きるのは2時間遅れまでに留めましょう。
それでも眠い時は、お昼寝で睡眠の補えばすっきりします。
2. 朝日を浴びる!
前編『睡眠のしくみ』の項でも説明しましたが、朝日を浴びることによって以下のことに働きかけます。
・脳内物質『セロトニン』の分泌促進
・体内時計をリセット
カーテン越しでもいいですが、庭やベランダに出て朝日を浴びると効果が期待できます。
時間があれば運動になるのでぜひ散歩をしましょう!
3. セロトニンの合成に必要な栄養素を摂る!
前編『睡眠のしくみ』の項目で、『セロトニン』から『メラトニン』が合成され、睡眠のスイッチが入ると説明しました。
この「セロトニン』とは、脳内の神経伝達物質で、睡眠のメカニズムで関係するだけでなく、精神の安定や安心感・平常心、頭の回転をよくして直観力を上げるなど、脳を活発に働かせるものです。
セロトニンの合成に特に必要な栄養素を摂りましょう。
トリプトファン:必須アミノ酸のひとつで、セロトニンの材料になります。体の中では作り出せないため食物からとることが必要です。魚、肉、大豆製品、卵、ナッツ、バナナなどに含まれます。
ビタミンB6:トリプトファンからセロトニンが合成されるために必要です。魚(特にサンマやイワシなど)、肉、レバー、バナナなどに含まれます。
炭水化物:脳の唯一のエネルギー源であり、トリプトファンが脳内に取り込まれるのを助けます。穀類やいも類、果物、砂糖などに含まれます。
4. 朝食を食べる!
朝食は、心と体の目覚めに重要で、脳や体へのエネルギー補給し、昼間の集中力アップと夜の快眠に役立ちます。
特に10代までの育ち盛りの子どもは、きちんと朝食を食べないと健康な成長が阻害されてしまいます。
目を覚ますには甘いものを食べると、消化器系や脳の働きが活発になります。
バナナを食べると前述の通りセロトニンの材料になり、効果があると言われています。
5. 昼寝をするなら、15時までの20〜30分!
昼食後から15時までの時間帯における30分未満の昼寝は、リフレッシュ効果が期待でき、日中の眠気や疲れを解消し、その後すっきりと過ごせて集中力を高めることができます。
30分を超える昼寝は体と脳を寝る体制にしてしまい、かえって覚醒後にぼんやりしてしまいます。
また、15時以降に寝てしまうとその後目がさえてしまい、就寝時間に影響が出てしまいます。
15時以降はちょっとしたうたたねを含めて、いっさい眠りをとらないようにしましょう。
6. 夕食は寝る3時間前までに食べる!カフェインは4時間前まで!
食事は床に就く3時間以上前にすませ、胃腸を休めてから寝るのが理想的です。
また、カフェインは覚醒作用があり、入眠を妨げ途中で目が覚めたりします。摂取後4~5時間は作用が持続します。そのため、カフェインが含まれる日本茶やコーヒー、紅茶、ココア、コーラなどのソフトドリンク、栄養・健康ドリンク剤、チョコレートなどは寝る前の4時間は控えましょう。
7. 夜、お風呂に入ろう!
人は体温が下がると活動が低下し、睡眠に移行しやすくなります。
眠る1〜3時間前に入浴して体温を上げておくと、体温が下がるタイミングでスムーズに眠りに就くことができます。
入浴はシャワーですませるのではなく、40度くらいのぬるめのお湯にゆっくりつかるのがよいです。
お風呂に入る気力が無いときでも、手や足を温めてあげると熟睡できて疲労の回復が早くなります。
8. 寝具は立っているときの自然な姿勢をそのまま保てるようなものを選ぼう!
寝具を選ぶ基本は、普段立っているときの自然な姿勢をそのまま保てるようにすること。
・身体に合った枕の高さは意外と低いもの。高い枕は、首のシワ、二重あご、いびきの原因になります。
・睡眠中の動きが少ない人や睡眠時間が少ない人には低反発のもの、頻繁に寝返りを打つ人には高反発のものが向いています。
9. 寝室を整えよう!
・部屋の中をちょっと片付けるだけでも、格段に気持ち良く眠れるようになります。
・リラックス効果の高い色…ベージュ、パステルカラー、淡いブルーやグリーン。統一感のない色彩や派手な色は脳を興奮させてしまい快眠を遠ざけてしまう。
・部屋の入口から顔を見ることが出来ない位置にベッドを置くと、心理的な安心感が得られます。
・通気性を確保するため、ベッドと壁は少し離しましょう。
・部屋を真っ暗にして寝ましょう。少し光が必要なら、光源の位置を目に入らない場所に移動しましょう。フットライトなどをベッドの死角に置くだけでも、違いがあります。
・夜が明けるにしたがってゆっくりと部屋の中も明るくなるような環境だと、すっきり目覚めることができます。朝になったら明るくなるようなカーテンを選びましょう。
・寝苦しい時、エアコンはタイマーで切れるようにすると安眠が妨げられます。朝までエアコンをつけておく方がぐっすり眠れます。
10. パジャマを着よう!
一般にパジャマは、吸湿性に優れ、肌に優しく、身体を締め付けないように作られています。
パジャマは摩擦が少ないので、部屋着と違って小さな力で寝返りが打てるので、疲労が少ないです。
また、手足が冷えても靴下ははかず、手首や足首を温めるようにしましょう。
なお、起きたらいつまでもパジャマを着ていないで着替えることは、乱れがちな生活リズムを整えるのに重要です!
11. 眠りに就く前は強い光、特にブルーライトを浴びない!
ブルーライトは、可視光線のなかでもっとも波長が短く強い光です。
ブルーライトの身体への影響は日光に匹敵し、体内時計が狂ってメラトニンが分泌されなくなってしまいます。
就寝前、ブルーライトを発するLEDを用いた照明、テレビ、パソコン、スマートフォン、タブレットはできるだけ見ないようにしましょう。
どうしてもという時は、ブルーライトを少なくするスマホの画面設定やアプリ、ブルーライトカットのメガネなどを利用して、できるだけブルーライトを少なくするよう意識しましょう。
12. 心や体をリラックスさせる方法を試してみよう!
ベッドに入っても、いろいろな不安や緊張が頭から離れず、なかなか寝つけないときもあります。
ストレスを少しでもやわらげ、心や身体をリラックスさせる方法を試してみましょう。
・前頭葉を冷やすと脳の代謝機能が低下するため、思考が落ち着いて自然な眠りに移りやすいです。
・ブラーマリー(ハチの羽音)呼吸法…両手の親指で両耳の穴を塞ぎ、残りの指で目を覆って、鼻から「んー」というハミングするような低い音を出します。
・目の周りを温めると副交感神経が刺激されてリラックスできます。
・音楽や自然音のリラックス効果を利用しましょう。ちなみに、私には水の流れる音が効果的です^^
前編『サッカーや勉強と睡眠との関係』『睡眠のしくみや重要性』についてはこちら
参考文献
睡眠学入門ハンドブック 睡眠の基礎知識:日本睡眠教育機構
睡眠コンサルタント資格取得講座テキスト:formie(フォーミー)
最後に
どうでしたか?全部実践するのはなかなか難しいと思います。
この記事は私自身にとっても戒めです。書いておいて恐縮ですが、できていないことが多くあります。
でも、知っているのと知らないのでは大違いなので、頭の片隅に留めて、時々思い出して生活の一部に取り入れていただけたら幸いです。
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