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強豪校ゆえの誤解も 東福岡高校サッカー部の「人間教育」 森重潤也監督インタビュー

—東福岡高校サッカー部の「育成」について
2018年度インターハイ全国ベスト16、ルーキーリーグU-16全国3位、プレミアリーグWEST5位、全国高校サッカー選手権大会出場、2018年度新人戦福岡県大会優勝など、押しも押されぬ全国トップクラスの強豪「東福岡高校サッカー部」を、森重監督はじめスタッフの皆さんがどのような指導方針で選手を育成しているのか、お話を伺ってきました!


東福岡高校サッカー部 森重潤也監督

森重監督
「勝利至上主義なのだろう」と誤解されることが多いんですよ。でも、我々が一番大きな目標として取り組んでいるのは「人間教育」であり「社会で通用する人間形成」なんです。

人生の中で16才~18才の高校生の期間というのは、人間形成に大事な時期ですよね。この年代でサッカーをする場は街クラブやJアカデミーなどもありますが、僕たちは「部活動」です。学校生活の中の一つですよね。ですから、サッカーだけでなく、学校生活も重要視しています。高校生ですから高校生らしくきちんとした生活しているのかというのは大前提です。

その上で、学校の方針が「文武両道」ですから、サッカーだけできればいいというのも違う。勉強もしっかりやる。

東福岡高校のOBというと、長友 佑都選手(日本代表)がすぐに思い浮かぶと思いますが、彼は高校時代、しっかりと勉強をしていました。

長友選手は愛媛から来て、寮生活をしていました。私学に行かせてくれたお母さんを将来楽にさせてあげたいという気持ちを持っていて、しっかり勉強をしていい大学へ行くという強い気持ちを持っていました。

朝は6時に寮の門が開くと、グラウンドに来て自主練をし、7時40分からの課外授業に参加、そして昼休みにはラグビー部と一緒にトレーニングをし、夕方のサッカー部の練習が終わってライトが暗くなっても寮の門限まで自分の練習をしていました。普通、こんな生活をしていると、日中の授業は眠くなりますよね。でも、授業中に寝るようなことはなく、きちんと勉強していた。彼は今まで僕が見てきた何千人ものサッカー部員の中でも、とびぬけて努力する力がすごかったです。

サッカーの面でも1年生の頃はそんなに目立った選手じゃなかった。
新入生の頃は身体も小さかったので、1年生の中のAチームにも入っていなかった。でも、その悔しい思いを使ってくれない監督のせいにしなかった。そして、必死に何が足りなかったのかを考えて、自分のストロングポイントを磨いていった。

彼はもくもくと努力を重ねて、最後にはトップチームの試合にも出られるようになったんです。よく「長友さんをどうやって育てましたか?」と聞かれることが多いのですが、僕は本当に何も手をかけていないんです。むしろ、もっと手がかかる子は他にたくさんいた。長友選手は基本的に真面目でしたし、何かを教え込んだとかそんなことは無い。自分で努力して成長していった。僕らはその環境を与えただけです。

指導者としてできることは、選手にいかに成長する環境を整えてあげられるかだと思っています。例えば、東福岡が参加しているプレミアリーグも、成績が悪ければ降格です。全国的な強豪チームと真剣勝負をする「場」を失うことになる。後に続く下の学年の子たちのためにも勝って、その成長のための「競争のステージ」を守らなければならない、そういう意味での「勝たなければ」という思いはあります。

しかし、ただ勝てばいいというものではない。取り組みや準備の段階で「自分への厳しさ」が日常の中に無ければ成長しないのではないでしょうか。

我々は決してプロサッカー選手を育てるためのチームではないです。
たまにサッカー初心者が入部してくることもあるんですよ。あと、日本一を目指すようなチームはどんな指導がされているのか知りたいとか、サッカーも勉強も高いレベルで両立がしたい、という理由で東福岡のサッカー部に入ってくる子もいます。

そういういろいろな目的を持った子たちが、厳しい練習の中で、我慢や辛抱をしながら努力していくことで自分の人間性を高める3年間を過ごす姿は下級生にとって素晴らしいお手本です。

例えば、去年の春(2018年2月)に東福岡高校卒のG大阪福田湧矢選手と、ファジアーノ岡山の阿部海大選手が高卒ルーキーでありながら開幕スタメン出場を果たしました。

プロになったばかりの18才が、チームに合流して1ヵ月か2ヵ月で開幕スタメンに名を連ねるというのは並大抵なことじゃない。試合に出られたのは、サッカーの技術面だけの問題ではないと思います。

先輩たちとのコミュニケーションの取り方や協調性、日ごろの行いが優れていたからこそ、チームから認められたのではないか。サッカーを通じて彼らが社会に出ても通用する人間に成長していたからこそ、このような起用につながったのではないかと思います。ですから、これは本当に嬉しかったですね。

東福岡での苦しい練習を乗り越えてこれたんだから、プロサッカーの世界に限らずですけど、社会に出てから思うようにならなかったり、壁にぶち当たった時にも負けずに乗り越えていける力が付くのではないか、付いて欲しいと思っています。高校を卒業して次のカテゴリーでも活躍できる人材に育ってくれた時に、心から指導者をやっていて良かったなと思いますね。

—最後に、東福岡高校サッカー部に憧れている小学生・中学生も多いと思います。どんな選手に来て欲しいですか?

東福岡高校のサッカーを見て、全国の子ども達に「こんなサッカーをしたい!」と思ってもらえたら、嬉しいですね。東福岡のサッカーが好きだという選手にたくさん来てもらいたいと思います。

—本日は貴重なお話をありがとうございました。

◆東福岡高校サッカー部U-16が参戦している九州ルーキーリーグ「球蹴男児U-16」公式サイトはこちら

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    統括編集長/オウンドメディア事業部江原 まり
    長野県出身。
    ライター歴11年。
    子育て系メディアにて、主に教育、引越し、子育て全般についてのコラムを100本超執筆。
    2016年からジュニアサッカーNEWSにて執筆開始。
    2017年10月より副編集長、2019年4月より統括副編集長/戦略事業部。
    2022年1月より統括編集長/オウンドメディア事業部。

    自身もサッカー少年の母です。
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