ルーテル学院と言えば、2001年創部以来、熊本の高校サッカーシーンをけん引してきた県内屈指の強豪校として知られています。
選手権全国大会に過去4回出場:2009年ベスト8進出、インハイ全国大会に過去2回出場:2010年ベスト8進出、高円宮杯全国大会に過去2回出場など、数々の実績を積み上げながら日々進化をし続けています。
今回はルーテル学院サッカー部の小野秀二郎監督に取材をさせていただきました。
社会科の教諭でもある小野監督。学校では働き方改革を推し進める一人として奮闘されているそうです。
そんな小野監督はこれまでの固定観念に縛られない新たなサッカー部運営の形を目指しています。
Q:新しいサッカー部運営の形って?
A:カギは産業化
高校サッカー業界全体に言えることですが、ポイントはいかに産業化できるかだと思います。
今年3月、スポーツ庁よりUNIVAS(大学スポーツ協会)が正式に設立されましたが、今、日本の大学スポーツ界は米国NCAA(全米大学体育協会)の組織モデルを目標に変わろうとしています。
そして高校サッカー界にも、まだ先かもしれませんが、いずれその波がやってきます。
地域の高校がブランド化され、収益が生み出されると、選手にとって十分な練習環境が整うことはもちろん、指導者はコーチ職だけで生活できるようになるかもしれません。
しかし、私たちはその波を待っているだけではなく、今出来ることをやっていかなければならないと思うのです。
Q:どのような取り組みをされていますか?
A:地元企業との連携
ルーテル学院高校サッカー部は1学年の選手数を15名と決め、厳選した少数精鋭での組織作りを実践しています。
そのため部費自体が他校より少ないかもしれません。
しかし良い環境を提供するために部費を値上げしたり、選手・保護者に負担をかけることは本質的な解決にはならないと考えています。
私たちは地元企業に直接交渉しユニフォームや移動着に計6社のスポンサー様についていただくことができました。
人工芝のグラウンドやクラブハウスの設立もそれぞれ地元企業様にサポートいただきながら完成しています。
今後も私たちチームが協力者の皆様に提供できる価値を増やしていくことが、チームの発展につながると考えます。
Q:弱肉強食の高校サッカー界でチームができることは?
A:限界を決めない
日本は少子高齢化が加速していますね。
近い将来、選手や若い指導者の取り合いは必至となるでしょう。
そもそも高校サッカー界は弱肉強食な世界でもあります。
リーグ戦はチームの強化やレベルアップのために有効な手段ですが、チームをはっきりと格付けしてしまうものでもあります。
チームの所属リーグがある程度固定されると、その中にビッグチームが生まれ、有能な選手や指導者が集中し、一極集中の図が生まれます。
このとき、ビッグチーム以外のチームが一番やってはいけないことが「こんなものか」と現状に甘んじることです。
限界を自分たちで決めてしまってはそれまでです。
変に身の丈に合わせる必要はないのです。
チームは課題克服のために知恵を出し現状打破する努力が必要です。
Q:戦績による格付けからの脱却方法は?
A:チームのブランド化
戦績により下位に格付けされてしまったチームは、チームとしての生き残りをかけて戦績をあげることだけではなく、自らをブランド化していく必要があります。
チームのブランドとは強さだけではないはずです。
選手や保護者、OB、指導者に提供している価値を、もっと知ってもらうべきです。
例えばルーテルではサッカーだけではなく、勉強や生活面でのサポートもいくつか実施しています。
テストの成績が悪い選手は補修を受けて結果を出すまで練習に参加できません。
学校・部活ともにスマホ禁止ですが、家でも見れないようにと保護者から依頼され、預かることもあります。
こういった些細なことも、保護者に喜んでもらっています。
チームごとに戦略は様々ですが、まずは価値をどれだけ多く知ってもらえるかがブランド化に繋がると思っています。
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最後に
2016年の熊本地震からもうすぐ3年が経とうとしています。
小野監督は、震災を経験し、「平和と安全」があるからこそサッカーができるんだと身をもって実感したとおっしゃっていました。
多くの保護者や支援者、関係者の方々に支えられながら、チーム環境や指導者の地位向上に向けて取り組んでおられる小野監督とルーテル学院高校の取り組みを、私たちジュニアサッカーNEWSも応援します!
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