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認める父親、見守る母親、ジュニア選手には親の役割が大事。それぞれの大事な役割とは?

父親と母親の特性は違う

photo:wickenden

「この男女平等のご時世に、父親と母親の特性って、ほんとにあるの?」と思う方もいらっしゃると思います。あります。これは、親が決めることではなく、子どもが求める特性です。

怖い絵本があったとします。怖いけれど面白い、ドキドキワクワクしたい。こんな本は、父親に読んでもらったほうが子どもの心拍数は上がり、読んでもらった後の満足度は上昇するというデータがあります。

逆に、穏やかな絵本は、母親に読んでもらったほうが心拍数は減少し、穏やかなリラックス状態になるというデータもあります。見知らぬ人と出会ったときは母親のそばに行きたくなり、遊びなど楽しいこと(特に体を使ったこと)では、父親のそばに行きたくなることを、子育ての実体験として、もうわかっていらっしゃる方もいるでしょう。子供は、父親と母親をきちんと自分の中で役割分担しています。

普段無意識にしていることが子供を育てる

1657007659_c1fa7a806f_zphoto:Jarrett Campbell

この1週間、あなたのやったことはありますか?

■お父さん編

・子どもの前で、チームメイトをほめた
・「お前ならできるよ!」と言った
・先週末の試合(あるいは練習)についてコメントした
・子どもに「よく頑張ってるね」と言った
・子どもの考えの間違いを正した
・「最近練習はどうだ?」と聞いた

→3つ以下のチェックの方は「認める父、見守る母」へ
→3つ以上のチェックの方は「ゴールを教える父、プロセスを教える母」へ

■お母さん編

・3回以上家の掃除をした
・週4日以上ごはんを作った
・食卓で、「野菜(あるいは肉、魚)食べなさい。栄養があるんだから」という内容を言った
・子どもが「○○が痛い」と訴えてきた
・子どもに「お前ならできる」と言った
・「もう少しでできるね!」と言った

→3つ以下のチェックの方は「認める父、見守る母」へ
→3つ以上のチェックの方は「ゴールを教える父、プロセスを教える母」へ

「これのどこが子供を育てること?普通でしょ!」と思うかもしれません。いえいえ、ここにヒントがあるのです。この「普通」を、意図的に行うことで、子どもの様々な能力を育てることができるからです

認める父、見守る母

●父親には「認めてほしい」という欲求

300468776_e9fa6eda3e_ophoto:Jarrett Campbell

「認める」は、「見」「留める」という言葉からできています。良く見て、成長ぶりを認証してあげること。「それ、できるようになったな!」とできる瞬間をとらえてあげること。

・意思決定できる子ども
・自己主張できる子ども
・他人からの評価に振り回されない子ども
・自分を信じられる子ども

こういった子どもに育てるには、「認める」存在が絶対に必要です。

父親に否定されると、子どもは「他人の評価」を気にするようになります。子供にとって、母親は小さいときには自己同一化をするような自分と一体の存在ですので、母親からの否定は「自分の評価」につながることが多いのですが、父親は幼い子供にとって、初めての第三者の目線を持つ存在になるといわれています。

●母親には「見ていてほしい」という欲求

8088432345_1da2b07509_zphoto:Mark Baylor

2歳~5歳くらいにかけて、「見て!見て!」を言われすぎて、へとへとになった記憶はありませんか?小学校低学年まで続く子も珍しくありません。面倒見のいいお母さんだと、成功しないシュート練習を1時間以上見させられる人もいます。つい、「できるようになったら呼んでね」と言いたくなってしまいます。

子どもは、3歳になるまで母子分離をしないといわれています。母親=自分という感覚が強く、自分ができる嬉しいことは、母親も共有すべきだという感覚を持っています。

なので、「見て!」ほしいけど、悪い評価はされたくありません。プラスもマイナスも、全部「見て」ほしいのです。

・冷静に判断できる子ども
・いい意味で「がまんしない」子ども
・チームメイトを大切にする子ども
・自己の健康管理ができる子ども

これらの力を育てるには、「見守る」存在が絶対に必要です。

評価をせずにただ「見る」という姿勢は、冷静な判断ができることにつながります。試合中は、反省したら負けです。次のプレー、次のプレーに集中していかなければならないのに、反省という脳の動きは、体の反応を止めます。試合中にしなければいけないのは、「どうしてあんなことしちゃったんだろう…」という反省ではありません。「だったら今度はこうだ!」という判断です。それを作るのは、見ていてもらったという行為の積み重ねです。

この場合の「がまんしない」は、痛みに関してのがまんです。すぐに体の不調を訴え、弱みを見せられるということは、体を守るうえで大変大事です。ジュニア年代の子に特に多いのが、「骨折に気づかない」「我慢してプレーを続けていたら膝の半月板の痛みが取れなくなった」など、「がまん」による故障です。選手を長く続けたいなら、ジュニア時代に故障を重ねるのは致命的です。痛みにはがまんさせず、さっさと医者に連れていきましょう。

チームメイトを大切にすることは、「見守るもの」の視線から子どもは学びます。学校で起こるいじめも、いじめている子の保護者がいじめられている子とコミュニケーションを取ることで、いじめにくくなるそうです。逆もそうです。

ゴールを教える父、プロセスを教える母

「認める父、見守る母」の発展版です。日常生活の中で、サッカーを通して「生きる力」を身に着ける子どもを育てる方法です。

見てばかりが親の仕事ではありません。道筋をつけてやることで、子どもの問題処理能力が大きく高まります。スポーツをやっているお子さんは、この能力が高まるチャンスにめぐまれています。このチャンスを使わない手はありません。

■父親はゴールを教えよう

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いま、お子さんは「自分のゴール」を持っていますか?漠然と「日本代表になる!」ですか?そこに至る道筋をお子さんと一緒に、ぜひ考えてみましょう。

・ゴールから逆算できる能力
・目標達成に向かう能力
・モチベーションをキープする能力

を伸ばすことができます。

日本代表になるには、サッカーのピークを20代に設定する必要があります。20代にピークを持ってくるには、高校ではどうすればいいでしょう?中学は、部活ですかクラブチームですか?小学校で、どのくらいうまくなれば中学で1年生からレギュラーを取れますか?クラブチームのセレクションは受けますか?受かるにはどうすればいいでしょう。具体的に、小学校卒業時に50メートル走は何秒で走れればいいですか、リフティングは何回できればいいですか?

「代表?そんなの無理!」と一笑に付さないで、楽しみながらお子さんと一緒に考えてみてください。大きな夢に向かって進む力が育ちます。

■オバケも退治してあげよう

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今日は、去年の優勝チームと当たります。ユニフォームもかっこいいし、みんな日焼けしているし、とにかく強そうです。アップの体操も、掛け声も大きいし、動きもそろっています。

お子さんとチームメイトは、戦う前から「無理だよ…勝てないよ…」となっています。

どうしましょう?

これが、オバケです。去年は強かったけれど、今年は有力選手が抜けているかもしれません。エースの体調が最悪かもしれません。こちらをなめてかかってくれば、隙だらけかもしれません。落ち着いてみれば、勝てるかもしれないのです。

それなのに、わけもわからずおびえる気持ちが、「オバケ」です。オバケを抱えたまま試合に臨んだら、ピッチはお化け屋敷、試合は肝試しになってしまいます。力を出すどころではありません。逃げる準備をしながらピッチに出ていくのと一緒です。

このとき、勝つビジョンを与えてください。前の試合を見ておけば、「けっこう右サイドはザルだから、ボールを集めてみたら?」「球際が強いから、ワンタッチでボールを動かしたらどうだ?」という具体的なアイデアを出してあげられます。サッカーにあまり詳しくない方は、「相手の○番は、意外と足が速いぞ、走らせるな」などでいいのです。やればいいことがわかると、オバケはいなくなります。「とにかく先制だ!」「一点決めろ!」は、何をしたらいいのか子どもにはわかりません。オバケを巨大化させてしまいますので、注意が必要です。

■母親の仕事のほとんどは「プロセス」

9108953865_9145c5584a_zphoto:Mark Baylor

父親と比べて母親の仕事は、家事をはじめ、子どもの目に触れる機会が多いものです。

毎日毎日食事、掃除、洗濯…。父親の仕事も同じようなものですが、子どもの目に「毎日毎日…」と映るのは、圧倒的に母親です。

その姿勢から子供が吸収するのは、以下のような能力です。

・プロセスを楽しむ能力
・努力を継続する能力

実際に一つの動作が身につくのには、何回の反復練習が必要だかご存知でしょうか?

8000回です。

一つの動作の習得には、8000回の反復動作が必要です。特に11歳以下の選手が、この時期に反復による習得をすることは、将来を見据えた時に欠かせません。ちなみに、11歳までは基礎動作、12歳から14歳はスタミナ、15歳から18歳はパワーをつけるのに最適な年代です。

毎日毎日のプロセスを、楽しんでみてください。食事は、1か月後の体のために摂るものです。細胞のターンオーバーが28日だからです。掃除も、毎日片付けて、毎日散らかります。一見、何も前に進んでいない動作に思えますが、「片付いていると気持ちいい」「気持ちいい状態をキープするには、毎日の積み重ねが必要」という感覚を育てることに繋がっています。はっきり見えない未来のために今できる努力をコツコツやる姿を見せられるのは、母親の特権です。

8000回の努力をお子さんはしないといけません。プロセスを楽しまねば、耐えられない回数です。それを身をもって教えられるのは、母親です。

寄稿者プロフィール

JUNIOR SOCCER NEWS統括編集長/事業戦略部水下 真紀
Maki Mizushita
群馬県出身、東京都在住。フリーライターとして地方紙、店舗カタログ、webサイト作成、イベント取材などに携わる。2015年3月からジュニアサッカーNEWSライター、2017年4月から編集長、2019年4月から統括編集長/事業戦略部。2023年1月からメディア部門責任者。ジュニアサッカー応援歴17年。フロンターレサポ(2000年~)

元少年サッカー保護者、今は学生コーチの親となりました。
見守り、応援する立場からは卒業しましたが
今も元保護者たちの懇親会は非常に楽しいです。

お子さんのサッカーがもたらしてくれるたくさんの出会いと悲喜こもごもを
みなさんも楽しんでくださいますように。

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  1. シングルで育ててる人も大勢います。さすがに近視眼的な文章だと思いました。

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