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【みんなのトレセン】トレセン選考会に落ちたのはなぜ?「話が聞けない子はアピールもできない」 トレセンコーチ・指導者インタビュー

ジュニアサッカーNEWSでは、全国各地からトレセンコーチ・チーム指導者にインタビューに応じていただきました。インタビューをまとめて「みんなのトレセン」シリーズをお送りしています。

前回は、チームでうまい子でも、トレセン選考会で落ちてしまう。いったいなぜそんなことが起きるのか?その実態を伺いました。メンタルの弱い子、目立たない子は受かりにくいという指導者たちのお話を紹介しました。

今回は残り2つの受かりにくい理由、「話が聞けない」「アピールの勘違い」についてお伝えします。

また、不合格になった時どうする?ということについても興味深い意見が指導者の方々から寄せられています。

※下記の意見は、サッカー協会の示す公式な見解ではありません。
あくまでも一つの意見として参考にしてください。
また、サッカー協会へのお問い合わせ等はお控えください。

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話が聞けない。

トレセンコーチA
選考する担当指導者がつく場合、こういう選手が欲しい、という希望を出す。こちらが希望を出しているにも関わらず違うプレーをした子は落ちる。
トレセンコーチB
求められていること、評価基準は始まる前にきちんと会場で伝える。それができていない子は落とす。求められていることをちゃんとできたかどうか、が評価基準になる。こちらが求めることを「人がいっぱいいる中に仕掛けていくのではなく、仲間に渡せるように」と言われているのに、ボールをもって密集の中に突っ込んでいく子は落とす。
トレセンコーチC
コーチの問いかけに気づいて、すぐにやろうとするかどうか。やろうとした動作が運動能力を感じさせるレベルか否か、その動作の先のことも考えられるかによって合格不合格がきまる。適応能力も必要。こちらの発信したものをすぐに理解して実践する子は受かる。

普段から人の話をよく聞く、その人の意図をつかんで行動に移す、などの生活習慣ができている子はこの原因で不合格になることはなさそうです。

まとめ
選考会前に、選考指導者は「このような選手を求めている」と選手たちに話をする。
そこで話されたこととまったく合致しないことをした選手は選ばれにくい。
逆に、一生懸命実践しようとしている選手には目が留まりやすい。
試合中などに言われたことをすぐに実行に移せる選手は「伸びしろあり」として目に留まりやすい。

トレセンには「目指す形」があります。
【本気でトレセンに受かりたい子必見】「受かりやすい理想の選手像」はあるの!?

目指す形を伝えているにも関わらず実践できない選手、スタッフの言ったことを素直に聞けない選手は「向いていない」と思われて不合格になるケースが多いようです。

「アピール」を勘違いしている。

アピールする、を日本語に訳すと「売り込む」「訴えかける」となります。そのためなのか、アピールするという言葉の意味をはき違えていることに「?」と思っている指導者の声を伺いました。

チーム指導者D
目立ちたいからという理由、仲間を使ったら自分にボールが来ないかもしれないということから、指示を無視して自分だけでなんとかしようとしてボールを奪われたりすることにつながる選手がいる。そのふるまいはかえって評価を悪くしている。 そういう現象はアピールする場所では起きやすい。トレセンの選考会などでもよく起きること。アピールするということを勘違いしているとしか思えない。仲間を使ったら損をする、という考えではサッカーはできない。
トレセンコーチC
サッカーはチームスポーツ。仲間を助けなければならないスポーツ。好き勝手やって仲間に迷惑をかけてもいいと思っている選手は選ばれない。最適なプレーを選ぶのではなく、自分勝手にドリブルを仕掛けて、みんなが必死にとったボールを簡単に奪われる。そんな選手はいらない。
まとめ
自分単独でのプレーを「アピール」と勘違いしないように。
アピールは決して「一人で何とかする」ということではない。
サッカーはチームスポーツ。自分が良ければよいのではなく、周りと一緒にゴールを目指していかなければなりません。
それではアピールって何なのか。どうすればいいのかを伺ってみました。

  アピールってどうすればいいんですか?

チーム指導者A
大きな声を出す。お勧めの声掛けは
「ヘイ、パス!」「プロがやるようなGKコーチング」「~~守れ!」プロのサッカー選手がおしゃべりしているみたいに、どんどん言葉でコミュニケーションをとってボールをゴールにつなげる意識を持つといい。
トレセンコーチE
もらう声、味方を助ける声(「今フリー」「右あいてるぞ」など)が有効。鳴り物と同じで、鳴らなければ見てもらえない。注目を集めてプレーが雑だと意味はない。だが、注目を集めてプレーが丁寧だったり、そこで良いパフォーマンスがあればよい評価が得られる。
チーム指導者L
声が出るのは気持ちが入っている証拠。周りが味方の視野をフォローしてあげるための声掛けができるとよい。「フリー!」「ターン!」「ドンマイ」など、チームスポーツをフォローしてあげる声掛けなどが良いと思う。声掛けはプレーしている選手が動けるように、ボールが回るようにするもの。自己主張だけではだめだ。
チーム指導者K
チャレンジ。1人くらい抜く、という技術。積極的な子は声が出る。積極的な子は自分が目立ちたいからメンタル面が強い子が選ばれやすいと思う。「ヘイヘイ」という声掛けではだめ。

やみくもに目立とうとするのがアピールではない、ということを頭に入れたうえで、普段から声掛けを意識したり人の話を聞いたりする。そんな訓練が大切なようです。

トレセンに落ちた!そのとき親は?

ベストを尽くしても、落ちてしまうこともあります。その時どうしたらいいのか?ということも伺いました。

ベストは尽くした。
やれることはやったと思う。
でも、やはり不合格になるときはあります。

その時、どうフォローしたら次につなげることができるのでしょうか。

合否の連絡が来たとき

  不合格のときはどうしたらいいのでしょう?

チーム指導者C
合否の連絡が来るときに保護者に直接メールが行く。クラブ内でトレセンへ行く人はわかるが、合否連絡は本人のお母さんの携帯に入る。合否は親から伝えられる形になるので、その時の親の態度もすごく大事だと思う。

落ちたときのフォローの仕方。
泣きじゃくるなら泣き止むまでほっておく。
信頼しているコーチに電話させて落ち着かせる。

お子さんのサッカーについて一番知っているのはチームのコーチです。モチベーションの保ち方についても一番知っているのはコーチかもしれません。

「信頼している」というのが大事、ということですが、そんなコーチにお任せするのが効果的なようです。

トレセンの不合格は「お前はダメ」ではない!むしろ怖い勘違い。

また、トレセンの不合格に関しては「それは、今の力が足りないだけだから気にするな」という指導者が大半を占めました。親があまり悲嘆しすぎてしまうとお子さんはとても影響されてしまいます。むしろ、保護者の姿勢が大切という意見もありました。

トレセンコーチA
プロ選手になりたいと思っていたら、トレセンを最終ゴールにしてはいけない。トレセンに入ったからと言って何人がプロになれるのか。
チーム指導者A
トレセンはブランドの一つにすぎないのかな、という意識を保護者にも持ってほしい。
チーム指導者B
全国でU-12トレセンには何百人選ばれると思う?日本代表31名の中で、U-20までの代表に入ったことがない選手が約5割いる。トレセンは利用するもの、自分たちの指導のために伝えなければならないものにすぎない。「~選抜」の名前が独り歩きして、勘違いしている人が増えている。
お寄せいただいたコメント:指導者A
ただ「トレセン選手=良い選手」と言う訳でもありません。

たくさんの可能性を秘めたジュニアサッカーの中で一部偏った選考の中で埋もれてしまった選手もたくさんいるという事も情報として御社にはご承知いただきたいと思います。
また「トレセン選手=良い選手」とイメージ付ける記事もご遠慮いただければと思います。できれば取材を通して実態に即した情報発信をお願いしたいと思います。昨今、トレセンに選ばれ勘違いをしてしまう保護者も多数見受けられます。「うちはトレセン選手で選ばれた選手だから」と。保護者の態度は子供に伝わります。ひいては良い選手がダメになっていく原因の一つにもなりかねません。
トレセンコーチE
落ちた、ではなく、「選ばれなかった」だと思う。トレセンは育成が一番の目的。
僕らの声掛けでサッカーを嫌いにならないように、だから細心の注意を払って選考に当たります。小学校の時にエリアトレセンまでは行けた保護者とかに勘違いが起こりやすい。
中学校になると県トレセンには、小学校6年生の時にエリアトレセンに入った子たちは選ばれやすい。無下に落とせないから。こっちにも小学校のとき選んだ責任があるし。でもそういうところで親と本人が慢心してしまったら、そういう子たちは高校年代に行ってから試合に出られないということが起きる。
トレセンは夢をつかむ場であるけれど、勘違いが生まれる場でもあると思う。中学で選ばれて安心してしまって、トレセン歴もあるから高校も強豪に推薦で行けたりする。でも強豪校に入ったら試合に出られなかったりする。やっていけない。使ってもらえない。そんなことにならないように、今までの経歴より今どんなサッカーをしているかが大事なんだと考えてほしい。
トレセンは、今の段階で優れた子が選ばれるもの。運動能力や肉体の成長は個人差があります。今ではなかった、というだけだから落ちても大したことはない。次につなげるような声掛けが必要なのでは、むしろ保護者が勘違いするとかえって子供の芽を摘む…という意見をお持ちの方が多かったです。

指導者がすすめる「次につなげる自信を作る」

  落ちた子にはどうしたらいいのですか?

チーム指導者F
うちのチームの子たちは本当にうまいので、自分がだめなのかなとかは思っていないと思う。負けてないという自信がある。自信があるから「次はやったるで」となる。それを指導者も親も言ってあげることが大事。
チーム指導者G
トレセン入っていない子でも能力ある子はたくさんいる。興味がないという子もいる。トレセンは下手だから受からないのではない。何か突出した能力や技術がある子が入る場所だと思っている。だから、トレセンに受からなくてもいい。トレセンには普通の子は受からないから。「下手ではなく、普通なだけ」。だって、下手な子はトレセン受けられないから。

トレセンを受けられた段階で、そのチームの中でうまいということになります(希望者全員が受けられる地域は除きます)。その事実を踏まえて、今できることを一生懸命やること。そして、「別にトレセンに受かるためにサッカーしてるんじゃないよね」ということを親子ともに再確認したいものです。

チーム指導者H
自チームとトレセンは分けて考えがちだが、サッカーがうまくなることは試合に勝つことではない。今までできなかったことができるようになること、同じプレーが1つ上のカテゴリーでできるようになること。4部リーグでできることを3部リーグでできるようになること。そういうことの積み重ねが非常に大事。

階段は一つずつ、確実に上ること。これをしっかりと親子で確認することが「次につなげる自信を作る」ことにつながるようです。

※上記の意見は、サッカー協会の示す公式な見解ではありません。
あくまでも一つの意見として参考にしてください。
また、サッカー協会へのお問い合わせ等はお控えください。

実際にはこういう理由もあると思う!という事例や体験談などをお寄せください。




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    寄稿者プロフィール

    JUNIOR SOCCER NEWS統括編集長/事業戦略部水下 真紀
    Maki Mizushita
    群馬県出身、東京都在住。フリーライターとして地方紙、店舗カタログ、webサイト作成、イベント取材などに携わる。2015年3月からジュニアサッカーNEWSライター、2017年4月から編集長、2019年4月から統括編集長/事業戦略部。2023年1月からメディア部門責任者。ジュニアサッカー応援歴17年。フロンターレサポ(2000年~)

    元少年サッカー保護者、今は学生コーチの親となりました。
    見守り、応援する立場からは卒業しましたが
    今も元保護者たちの懇親会は非常に楽しいです。

    お子さんのサッカーがもたらしてくれるたくさんの出会いと悲喜こもごもを
    みなさんも楽しんでくださいますように。

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