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日本唯一の国立体育大 鹿屋体育大学サッカー部学生コーチが指導 NIFS KANOYA FC U-15 廣木 安二コーチ インタビュー

鹿屋体育大学は鹿児島県鹿屋市に位置する日本で唯一の国立体育大学。
スポーツを研究する環境や設備が整っており、教育と研究の充実のために様々な取り組みが行われています。

鹿屋大学が運営するサッカーチーム「NIFS KANOYA FC U-15」では、日々どんな指導が行われているのでしょうか?

お話を聞いた人

廣木 安二さん
NIFS KANOYA FC U-15 アシスタントマネージャー・ヘッドコーチ
鹿屋体育大学3年生

学生コーチ主体の指導
「選手の成長にやりがい感じる」

ーーーNIFS KANOYA FC U-15はどんなチームですか?

廣木 安二コーチ(以下、廣木)
NIFSは「National Institute of Fitness and Sports in Kanoya」の略称で、鹿屋体育大学が運営する地域スポーツクラブ、NPO法人NIFSスポーツクラブのサッカーサークルです。

大学が地域貢献の一環として始めたこのクラブでは、サッカーだけでなく、陸上やテニスなどさまざまなスポーツを行っています。

サッカー部門は2003年に鹿屋大学サッカー部の監督が設立しました。

カテゴリーや身体の発育発達に注意を払いながら狙いをもって「個」の育成をする、年代に合わせた最適な指導を受けることで将来トップチームの選手として活躍すること。
試合では、高い技術、戦術を生かして、攻撃的でクリエイティブなサッカーが出来ること。
ピッチ内外では選手一人ひとりが高い目標をもって、自ら考え判断し、責任をもって行動できるようになること。
サッカーを楽しみながら、生涯にわたってサッカーに関わっていける基礎をつくること。

これらの理念と目標を持ってスタートしたのだと聞いています。

運営や経費管理は大学のスポーツクラブ事務局が担当していますが、実際の指導や試合の引率、大会の申し込み、選手の勧誘などは、すべて大学サッカー部の学生である僕たちが行っています。

現在は7名の学生がコーチを務めており、ほとんどが自ら立候補して指導に携わっています。

僕は1年生から指導に携わるようになり、今年で3年目。
現在はメインコーチという立場で選手達の指導に当たっています。

ーーー大学サッカー部の選手をしながらコーチとしても活動しているのですね!どんな風に指導に当たっているのですか?

廣木
平日は8時半から16時まで授業があり、その後はサッカー部での練習が2時間。
そしてその後18時15分から約2時間、NIFS KANOYA FC U-15の指導を行っています。

時間のやりくりや、自分の練習からコーチの役割に切り替えるのは大変ですが、選手たちの成長を見るとやりがいを感じます。

年齢の近さを強みに

ーーー選手達とは年齢が近いですね。関係性について気を付けていることなどがあるのでしょうか?

廣木
選手達との年齢差が3〜4歳なので、兄弟のような感覚で接することもありますが、指導者と選手という立場を明確にするよう気をつけています。

選手たちはそれぞれ個性があり、サッカーだけでなくメンタル面でもサポートが必要なことがあります。

年齢が近いことは、良い面と悪い面があり、選手たちがリラックスして接してくれる反面、時には緊張感が足りないと感じることもあります。

指導者と選手としてきちんと線引きしないと「何のためにサッカーをしているのか?」という目標の部分が曖昧になってしまいます。
「目標達成のためには遊びの雰囲気だけでは良くないよね」という風に伝えるべきことは、根気よく伝えています。

コーチは全員、鹿屋大学サッカー部の仲間なので、お互いに気軽に意見交換できる環境だと思います。

練習後にはご飯を食べながら、その日の練習の振り返りや、保護者の方々とのやり取りについてもしょっちゅう話し合っています。

ーーー学生コーチの強みは何だと思いますか?
廣木
現役大学生選手としてのプレーを見せられることは大きな強みだと思います。

中学生の選手たちにとっては、技術の高いプレーを見ることで大学生選手への憧れも生まれますし、実践から学べる部分は大きいです。
言葉で説明するよりも、理解が深まるのも早いと思います。

試合形式の練習で人数が足りない時は、学生コーチが一緒にプレーに加わることもあります。
コーチと直接対戦したり、練習後に『1対1でやってください』『このテクニックはどうやるんですか?』という要望にもすぐに対応でき、実際に学んでもらう機会を多く作れることも強みだと思っています。

ーーー進路相談などにも応じるのですか?

廣木
自分たちが今まさに大学生ということで、親身になってアドバイスできる点も多いと思います。

進路に悩んでいる選手に対しては、自分たちが大学で学んでいることを踏まえ、「この学校に進むと将来こういう道があるよ」といった具体的なアドバイスがしやすいです。

鹿屋大学は日本で唯一の国立体育大学ということで、学生の中にはトップレベルの選手が沢山います。

高校年代の全国大会に出場した選手、優勝したチームで活躍した選手、日本代表を経験した学生もいます。
そして、もちろん、自分の様に勉強で入ってきた選手も。

本当に様々な「道」が見られると思います。

選手達は自分が進みたい道に近いコーチに様々な話、アドバイスを聞くことが出来ると思います。
年が近い分、選手達にとってもリアルさや説得力が増すといいますか。
色んな学生コーチの話を聞いて参考にしてもらえると思います。

大学サッカーでの学びを継承

ーーー日々のトレーニングプログラムや指導内容は、廣木コーチご自身が作成されているのでしょうか?

廣木
練習メニューは全て僕が作成しています。
ただ、このチームのコーチは学生なので、大学を卒業することで指導者が変わる、いわゆる「代替わり」が起こります。

代が変わっても極端な違いが出ないように、軸となる指導方針、これまで培ってきたノウハウなどは他のコーチとも意識を共有しながら、後任のコーチに繋いでいけるような体制を整えていきたいと思っています。

ーーー鹿屋体育大学サッカー部は九州大学サッカーリーグでトップ争いをするようなチーム。高い競技レベルの指導を受けたコーチが教えるというのは、チームの強みといえそうですね。

廣木
そう思っていただけていたら、とても嬉しいです。
指導方針は自分達が指導を受けている大学サッカーの影響もあり、他のチームの指導者の方々からも『NIFS KANOYA FC U-15のサッカーは大人っぽい』と言われることがあります。

大学の監督が長年指導してきたスタイルを僕たちも継承して、子どもたちに伝えている部分が大きいと思います。

ーーー「大人っぽいサッカー」とはどのようなスタイルなのでしょうか?

廣木
中学生だと身体能力の差が大きいので、速い選手にボールを蹴り込んで勝つというスタイルになってしまうこともあります。そっちの方が楽なんですよ。

でも、それだと高校や大学で通用しなくなる。それで苦しくなって高校でサッカーをやめてしまったら意味がないという思いがあって。

だから、僕たちはスピードに頼らず、パスを繋ぐサッカーを大切にしています。

相手を見て判断する能力を育てることが、大学生に近いサッカーだと言われる理由だと思います。
判断を伴ったサッカーというところが大人っぽいと言われているところなのかもしれないです。

ーーーチームには専門のコーチがいらっしゃるんですか?

廣木
ゴールキーパーコーチがいます。
大学のサッカー部でゴールキーパーを指導しているコーチが、中学生チームのキーパーも見てくれるんです。

そのコーチは高校や専門学校までずっとキーパーをしていた方なので、専門的な知識を学べると思います。

国立大学の環境を生かして

ーーー国立大学が運営するチームならではの特徴はありますか?

廣木
鹿屋体育大学には芝生のグラウンドが4面あり、その一部を練習場所として使用しています。
試合前や練習試合では、サッカー部が使用する質の高いグラウンドを使えることもあります。

また、雨の日は大学の体育館を利用できるため、天候に左右されることなく、年間を通じて練習ができるのが強みです。

さらに、ナイター設備も完備されていて、これも国立大学の施設を使用するので、費用が抑えられるのも大きなメリットではないでしょうか。

ーーー国立大学の設備を生かした取り組みなどもあるのですか?

廣木
実は今、企画していることがあります。

大学の設備を活用して、選手たちの走力や短距離での切り返しの速度などを専門的な機器で測定し、データを可視化しようという取り組みです。

測定は3ヶ月に一度行い、その結果に基づいたフィジカルトレーニングを実施して行きたいと思っています。

測定データの可視化は選手の運動能力の向上を実感させることが目的です。

例えば、筋トレの成果として50メートル走のタイムがどれくらい改善されたかを示すことで、選手たちのモチベーションの向上が期待できます。

選手達は、自分の成長が見えることでトレーニングへの意欲も高まりますし、具体的な目標を持って取り組むことができるようになると思います。

来たれ!新入部員!

指導者、学生スタッフの皆さん

廣木コーチをはじめ、現役大学サッカー選手による指導が受けられるNIFS KANOYA FC U-15では新入部員を募集しています。

体験練習は随時受付中です。
連絡先等はホームページをご覧ください。

最後に

「自分では想像ができないような経験が出来るのではないかと思って鹿屋大学に進学しました」
生まれ育った東京を出て鹿児島に進路を取った廣木コーチ。

今回のインタビューを通して『チームを良くしよう』という向上心、誠実さが伝わってきました。

アマチュアトップレベルに位置する大学サッカー。特に、九州でもトップレベルの監督が提供するトレーニングメニューを学生コーチを通して受けられる環境が整っているのは、チームの大きな強みです。
時代の最先端を行く指導を経験できるという点でも、特色が際立っています。

成長しようとする人が成長を支える。
NIFS KANOYA FC U-15という環境でしか得られない、特別な「実り」があるのではないでしょうか。

寄稿者プロフィール

JUNIOR SOCCER NEWSテクニカルマイスターWriterCrane
滋賀県在住ライターのCraneと申します。
2022年8月にライター歴5年目に突入、サッカー娘の母歴は丸12年になりました。

どんな試合でも、その一戦を迎えるまでにどれほどの努力があったのか。そしてそこに、どれほどの方の支えがあったのか。

頑張っている選手達、それを支える保護者、指導者の皆様が持つ数多のドラマに想像を張り巡らせてはリスペクトが泉のように湧き上がる日々。
涙腺も年々緩くなり、留まることを知りません。

8チームから12チームくらいの規模の大会、16チーム以上の大きな大会ともに情報は常に募集しています。
大会結果画像、弾けるような笑顔のお写真、選手達のご活躍の様子をぜひお寄せ下さい。いつでもお待ちしています!

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