MSフットルースは長崎県南島原市を中心に活動するサッカーチーム。
サッカーの技術はもちろん、人としての成長を目指し、日々指導が行われています。
チームの育成方針、指導体制とは?選手達への思いとは?
ジュニアユースを率いる中島英治監督にお話を伺いました。
お話を聞いた人
MSフットルース 中島英治監督
JFA公認B級ライセンス保有
限りある時間で判断力を伸ばす
ーーーMSフットルースではどんな指導を行っていますか?
MSフットルースジュニアユース 中島英治監督(以下、中島)
MSフットルースでは、サッカーの技術だけを教えるのではなく「瞬時に判断する力」を育てるトレーニングを行っています。
サッカーは、ボールを持っている選手、持っていない選手、それぞれが常に判断を求められるスポーツです。
ドリブルなどの技術だけではなく、状況に応じた判断ができる選手を育てることを心がけて指導に当たっています。
ゲーム中には、判断力が本当に重要になりますからね。
選手達には「このプレーが良かったのか?」と、常に考える習慣を持たせたいと考えています。
ーーー週の練習量はどのくらいですか?
中島
平日3日間、1回90分のトレーニングを行っており、土日には試合などが入ってきます。
時間を効率的に使うことを心がけ、判断力を高める、頭を使わせることを意識して指導しています。
90分というのは本当にあっという間です。
もう少し時間が欲しいなと感じることもありますが、子どもたちが宿題をする時間や、睡眠時間の確保なども考慮して、限られた時間の中で最大限の効果を出すことを大切にしています。
ーーー何名体制で選手を指導しているのでしょうか?
中島
現在は4人のコーチでジュニアユースの指導に当たっています。
4人ともB級ライセンスを取得しており、これはチームの強みだと思っています。
私たち指導者も常に新たなことを学びたいと考えています。
トレセン活動などにも参加しているのですが、そこで学んだことをトレーニングに落とし込むことで選手たちに還元しています。
コーチがそれぞれに様々な視点を持って選手一人ひとりを見て、個性や強みをしっかり把握できるようにも心がけています。
ーーー3年間の指導で選手達はどんな風に成長していますか?
中島
3年間のトレーニングを通して、判断力がしっかり身についているなと感じる選手が多いですね。
うちは立ち上げて3年しか経っておらず、今の3年生は、1年生の時からチームに参加してきた最初の世代です。
彼らは最初、全く勝てず、10試合中1回引き分けただけで、残りは全敗でした。
でも、力をつけてくれて、今では県の2部リーグで4位という成績を残せるまでに成長しました。
彼らがサッカーを理解しようと努力してくれた結果だと思います。
様々なサポートで成長を支える
ーーー選手たちの進路相談に乗ることも多いのでしょうか?
中島
進路についてのアドバイスはしっかりさせていただいています。
3年生になると、本人の希望に応じて高校の練習に参加できるよう、こちらから学校にアプローチすることもあります。
実際に練習に参加して、進学先の雰囲気を掴んだり、学校側と具体的な話をすることもありますね。
ただ、学校側のニーズと選手の能力が合うかどうかも重要ですし、タイミングによっては難しいこともあります。それでも選手の能力や伸びしろを考慮し、親御さんと話し合いながら、選手にとって最善の進路を一緒に考えていきます。
親御さんから聞く話と、選手本人から聞く話が少し食い違うこともよくありますが、最終的に進路を決めるのは本人です。
保護者としっかり話し合った上で、彼ら自身が納得して方向性を決めることが大切です。
我々は、サッカーが彼らの将来にどれだけ関わるのかを確認しながら、できる限りサポートしています。
ーーーサッカー以外にも力を入れている取り組みがあれば教えてください。
中島
食育やフィジカルの講習会を行っています。
怪我の予防やストレッチの方法を学んだり、保護者の方も一緒に食事の管理について学ぶ機会を作ったりしています。
さらに、メンタル面のサポートも重視しています。
中学生はまだ精神的に未熟なので、試合やトレーニングにどう向き合えばよいか、どうやって気持ちを整えるかといったことを外部の講師を招いて教えています。
ただ頑張れというだけではなく、冷静な判断ができるようにメンタルを整えることも重要です。
気持ちが乱れるとプレーにも影響が出ますし、チーム全体にも影響します。
選手たちが冷静に判断でき、チームに良い影響を与えるような選手に育ってほしいと考えています。
「サッカーが好き」という気持ちが原点
ーーー卒業していく子どもたちには、どんな人になってほしいと考えていますか?
中島
もちろんサッカーがうまくなるのは大前提ですが、人として成長することも大切なことです。
挨拶ができる、気配りができる、他人に配慮できる。
そういった部分を大切にしています。
サッカーを通して人として周りに愛され、地域にも貢献できる選手になってほしいと思っています。
実際に、サッカーに携わりながら将来の仕事に繋げたいと考える子も出てきています。
地元に残って、私たちと一緒に次世代の選手育成を担ってくれるような子がでて来てくれたらそれはとても嬉しいことですね。
サッカーは好きで始める子が多いですが、私たちは「もっとサッカーを知って、もっと好きになってほしい」と思っています。
3年後の高校進学時に「サッカーってこうやってやるんだ」とか「こういう理屈で練習しているんだ」と理解できる選手に成長してほしいです。
例えば、日本代表の試合を見て「今のシュートすごいね」と言うだけでなく、「あの前のパスが良かったね」とか、「あそこに走り込んだ選手がすごいね」といった、サッカーの深みを理解して話せる選手が育ってくれたら嬉しいですね。
ーーーこれから入ってくる選手たちに、メッセージをお願いします。
中島
サッカーが上手であればもちろん嬉しいですが、うちは街クラブで、セレクションを行って選手を選ぶようなクラブではありません。
何より大切なのは、サッカーが好きで、続けたい、学びたいと思っている子です。
うまいとか下手、足が速いとか遅いとか、そういったことは関係なく、サッカーに興味がある子に来てほしいです。
この「サッカーが好き」という気持ちが原点であり、それはこれからも変わらないですね。
私たちと過ごす3年間を通して、サッカーをもっと好きになってほしいと思っています。
最後に
現役選手時代はリーダー的存在として、チームメイトを鼓舞していたという中島コーチ。
指導者となった今も、温かい思いを持って選手一人ひとりに向き合い、その成長を見守っています。
MSフットルースを巣立つ時、選手たちからは「離れるのが寂しい」という声も多く聞こえるのだそうです。
「我々指導者も3年間の中でも関わる時間が長いので、選手たちには我が子同然のような感覚で接しています」
そう話す姿が印象的でした。
中島監督、貴重なお話をありがとうございました。
チームのますますのご発展、ご活躍をお祈りしています。
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