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全てにおいて「勝者」であれ!心に響く指導で選手を伸ばす ナガサキアシストサッカーユニオン 為田 真弥監督インタビュー

 

ナガサキアシストサッカーユニオンは長崎県長崎市を中心に活動するサッカークラブです。

育成に掲げる「完全勝利」
この真意とは?選手達に求めることとは?

チームを率いる為田 真弥監督にお話を伺いました。
子どもたちの成長を心から願う、熱い思いをお届けします!

お話を聞いた人

▲一番右の指導者が為田監督

ナガサキアシストサッカーユニオン
為田 真弥監督

全てにおいて「勝者」であれ

ーーーナガサキアシストサッカーユニオンの育成方針について教えてください。

為田 真弥監督(以下、為田)
うちではよく完全勝利という言葉を用います。

ただ「勝つ」ということのためだけではなく、試合内容に価値を持たせることを大切にしています。

例えば、考えずにただボールを蹴るような試合は避けたいです。
たとえ負けても、内容が充実していれば『価値ある負け』になりますし、勝つためにはその過程にこだわってほしいと伝えています。

勝ち方にこだわりながら成長することで、選手たちが次のステージでも活躍できるようになると思っています。

僕が求めるのは、常に「勝者」であり続けることです。
すべての面で「勝者」になりたいと思っているのです。

例えば、高校に進学した時に重宝される人間を育てるクラブとして評価されたいですし、試合の内容でも勝って、マナーでも勝っていたい。

だから、うちでは「完全勝利」という言葉をよく使うんです。
内容では負けて、結果だけ勝つのは意味がないと思っています。

試合後の挨拶でも、だらっとした態度やマナーで負けているようなことがあれば、試合結果が勝っていてもそれは勝利とは言いません。
試合結果でも負けてマナー面でも負けることは、もうありえないですね(笑)

どこかで手を抜くことは許さない、というのが自分のスタンスです。

それは選手にとっても指導者にとっても大変なことですけど、目指すべき目標だと思っています。

理不尽を取り除き、心に響く指導を

ーーー日頃の指導ではどんなことを心がけていますか?

為田
選手たちの心に響く指導を心がけています。

子供たちが自分で納得した上で行動しないと、本質的な成長に繋がらないと思うからです。
やらされているのではなく、自分で大切さに気づいて取り組むことが何よりも重要です。
それが結果として、選手たちに大きな変化をもたらすと思っています。

ーーーそのような指導方針に至ったことには、どんな理由があるのでしょう?

為田
自分は高校や大学、そして海外でもサッカーを経験してきましたが、サッカーが楽しくないと感じる瞬間って、理不尽さに直面した時なんです。
理不尽な経験は今でも多いですし、それ自体が成長に必要だと理解しています。

しかし、本当に上達するためには、中学生の年代では特に「楽しさ」が欠かせません。
無理やりやらされるのと、自ら楽しんで取り組むのとでは、成長のスピードがまったく違います。

子どもたちがピッチで楽しそうにサッカーをしている姿を見ると、保護者の方々も笑顔になりますし、私たち指導者もやりがいを感じます。
ピッチ全体が笑顔に溢れる、そんな最高の環境を作りたいと思っています。

そのためには、少しずつ理不尽な要素を取り除きながらも「理不尽さも時には成長の糧になる」ということを子どもたちの心に響かせながら伝えることが大事だと感じています。

ーーー理不尽さを取り除くと、選手たちはどのように変わりますか?

為田
本当に素直になります。
まっすぐに取り組む姿を見ると、指導していても嬉しいです。
日々の練習から理不尽を取り除いて、楽しむ環境を作ると、子どもたちは自然にサッカーを続けたいという気持ちが強くなります。

今年の3年生も、全員が高校でもサッカーを続ける予定です。

楽しいと思わせることは簡単ではないですが、それができれば選手たちは自然と上達していきます。私たちは、その楽しさの中に成長の要素を織り交ぜて、選手の未来を支えていきたいと思っています。

「振る舞い」から学び、愛される人に

ーーーチームを卒業した選手たちは、高校に進んでどのように成長していますか?

為田
うちは意外と真面目な子が多いんです。
もちろん、やんちゃな子もいますが、高校からのフィードバックでは『献身的に何でもやってくれる』と評価されました。
サッカー以外でも、周囲のサポートを自然にできる選手に成長しています。

ーーーその姿勢は、どういった指導から生まれるのでしょうか?

為田
サッカーと同じくらい大事にして欲しいことが、オフザピッチでのマナーや礼儀、振る舞い方です。

うちのチームは遠征や合宿を行う時、必ずテーマを設けます。
例えば、先日の鹿児島遠征のテーマが「振る舞い」でした。

「良い振る舞いをすることでどんな結果が得られるか」を考えてほしかったんです。
子どもたち自身が、良い振る舞いをすることで何がメリットになるのか、逆にしなかった場合に相手にどういう印象を与えるのかを考えて欲しいと思いました。

良い振る舞いとは何かを考え、それをすることによってどうなるか話してる中で、「良い振る舞いをすることでまた試合してくれる」や、「良い振る舞いをすることで相手を楽しませたり、良い思いにすることができれば、自分たちが困ってる時に助けてくれる」などの素晴らしい意見がたくさん出てきます。

そうすると、「リターンを求めて良い振る舞いをするわけではないけど、みんなが出した良い振る舞いをすることで自分たちには得なことしかないよな。」というような話ができます。

そこまでしっかり考えながら私生活を送ったり、人とコミュニケーションをとることで、「人の気持ちを考えられる人間」や、「繋がりを大切に出来る人間」になってほしいと思っていますし、「だから挨拶もきちんとしないと」と、自ら気付ける機会になればと思っています。

遠征テーマは、サッカーだけでなく、道徳的な部分にまで踏み込んでいるんです。

遠征後に開催された、宅島グループ杯という3年生の集大成のような、県内クラブ・中体連全てのチームが参加する大会では結果ベスト4というとても嬉しい結果だったのですが、それ以上にすごく嬉しいことがあって。

遠征先のロッカールームを自主的に掃除することが日常になっているのですが、宅島グループ杯の準決勝・3位決定戦の会場だった島原市営陸上競技場の管理人さんから『ここまで綺麗にして帰るチームは大人でも見たことがない』と褒めて頂きました。
本当に嬉しかったですね。

サッカーが上手でも、社会に出たらそれだけでは通用しません。

でも、掃除や整理整頓など、誰かが嫌がることを率先してやれる人間は、社会に出てからもきっと重宝されます。
そうした習慣を中学のうちに身につけてほしいと思っています。

真面目な子は最初からできることもありますが、多くの子は最初は意識していません。
けれど、3年間しっかりと指導していくと、掃除や整理整頓が当たり前になっていきます。
「お前がここまで綺麗に掃除してるの、初めて見たぞ」なんて驚くこともあるほど、変わっていきますね。
選手達は指導者が想像している以上に様々なことに気付くようになります。

「良い振る舞いって何だろう?」と考えていた時、挨拶や荷物の整理はもちろん、空のお弁当を返す時に「美味しかったです」とプラス一言伝えることや、「相手を褒めること」など、指導者側も大切なことに気づけることがよくあります。子供らはすごいですよ(笑)

例えばドリブル。
これはあくまでゴールを奪う手段に過ぎず、最終的にゴールという目的を達成するためのプロセスの部分です。
振る舞いも同じで、人に愛されるための良い行動が、サッカーにおける技術と同様、人生において大切な手段なんです。

良い振る舞いをすることで人に愛されます。愛された人間は、必ずどこかで助けてもらえる存在になります。
私はサッカーを通じて本気で努力してきたからこそ、多くの人に支えられてきました。これは選手たちにも伝えたい大事なことです。

ーーーサッカーだけでなく、人間教育にも力を入れているんですね。子どもたちには、積極的に自分の考えをアウトプットさせているのですか?

為田
もちろん伝えることもありますが、ミーティングではできるだけ子どもたちにたくさん話してもらうようにしています。
自分たちで考えて発言することはとても大事です。
こちらからゴールを提示せず、彼らが自ら答えにたどり着けるようサポートするだけですね。
最終的なまとめはしますが、指導者が前に出過ぎないように心がけています。

磨くべきは個人技

ーーーサッカー技術の育成に関しては、どんな指導をされていますか?

為田
例えば、対外試合で『パス禁止』のルールを設けることがあります。

相手チームには事前に了承を得たうえで、うちの選手たちには試合はすべてドリブルで対応してもらいます。
この取り組みは個々の技術を高めるためにもとても大切ですし、常にベクトルが自分に向くようになるので、心の成長としても必要だと思っています。

ーーーそのドリブル重視の指導には、どんな狙いがあるのでしょうか?

為田
ドリブルは体力的にもメンタル的にも非常にハードなんです。
ボールを持ちながら走り、相手に取られないようにするためには、技術や判断力が不可欠です。
この取り組みを通じて、選手たちにはボールを失わないスキルはもちろん、体の使い方や、助け合う心、自分に矢印を向けることから自律神経の促進などに繋げてほしいと思っています。

もちろん、パスやキックも大切ですが、個々がしっかりボールを保持できる技術は、どの指導者からも評価されますし、何よりやってる本人と観てる方から、面白いという声を沢山いただきます(笑)
誰が見ても『あいつすごいな』と思われるようなプレーをする選手に育ってほしいと思っています。

ーーー3年間の育成方針はどのように進められていますか?

為田
1年目は徹底的に個人技を磨きます。
パス禁止の試合もその一環です。

2年目には、11人の中でどう自分の技術を活かすかをテーマに、サッカーの原理原則を学びます。

そして3年目には、チーム全体の中で自分の強さを発揮できるようにしていきます。

ざっくりいうとこんな感じです。今年の3年生は、このメソッドがしっかりはまり、今では多くの子が高校から声をかけてもらっています。

選手一人ひとりに向き合う進路サポート

ーーー進路指導にも深く関わっているとのことですが、どのようにサポートされていますか?

為田
進路は選手全員に関わる大切なことです。
6月末から、技術の優劣に関係なく、進路について話し合いを始めます。

サッカーが得意な子は自然と高校やJユースから注目されますが、まだ力が足りない子もサッカーを続けたいと思っているなら、私はその気持ちを大切にしたいです。

サッカーを盛り上げ、長崎県のサッカー人口を減らさないためには、技術に差がある子たちにも長くサッカーに関われる道を作ることが大事だと思っています。

ーーー進路サポートでは、どのようなステップを踏まれているのでしょうか?

為田
5月末や6月には個別面談を行い、興味のある高校を聞き出します。
その後、練習参加を希望する学校にお願いして、実際に選手がその高校の雰囲気を感じられるようにします。
特待の有無に関わらず、高校の練習に参加することで、進路決定に役立ててほしいですね。

練習会の参加が終わったら、再度面談を行い、進路の意思が固まった選手には、私がその高校に紹介したり、お願いして参加させていただいたりします。

ーーーサッカーだけでなく、勉強面もサポートされているのですか?

為田
勉強も大切なので、中1の時から声をかけています。
「勉強をおろそかにすると、将来選べる高校の選択肢が狭まるぞ」と。

もちろん、無理に塾に行かせるわけではありませんが、勉強とサッカーを両立させることが、生活態度にも良い影響を与えると思っています。
今年は3年生が17人います。
1人1人にしっかり向き合い、どんなことでも共有したいと考えています。

喜びも悔しさも、彼らの成長の一部ですから、一緒に感じながら未来に向かって進んでいきたいですね。

チームは未来へ!

ーーー今後はどのような選手に入ってきてほしいと考えていますか?

為田
サッカーが好きな子であれば、誰でも歓迎しています。特にうちのチームに入って、少しでもチームの色に染まってくれたら嬉しいですね。

ーーーチームの挑戦は、今後どのような形で進んでいくのでしょうか?

為田
来年からチーム名が『エンセリオールシティ』に変わります。
エンブレムやユニフォーム、移動着なども一新しますよ。かなりかっこいいデザインになります。

正式に活動をスタートさせるのは来年のどこかのタイミングですが、その時にプロモーションビデオも公開予定です。
かなりかっこいい映像になると思うので、ぜひチェックしていただければと思います!

最後に

為田監督が目指すのは、単なるサッカーの技術向上だけでなく、すべての面で「勝者」としての人間を育てることです。

個々の技術に特化し、プレーする選手も観てる側も面白く、試合の結果や内容、さらには選手のマナーや振る舞いまでを重視した、「完全勝利」を求めるこの新しい独特な方針は、選手たちにとっても、長崎サッカー界においても、大きな成長をもたらすのではないでしょうか。

来年からチーム名を「エンセリオールシティ」に変更し、新たなスタートを切るこのクラブのさらなる発展が期待されます。
チームの今後がとても楽しみです!

寄稿者プロフィール

JUNIOR SOCCER NEWSテクニカルマイスターWriterCrane
滋賀県在住ライターのCraneと申します。
2022年8月にライター歴5年目に突入、サッカー娘の母歴は丸12年になりました。

どんな試合でも、その一戦を迎えるまでにどれほどの努力があったのか。そしてそこに、どれほどの方の支えがあったのか。

頑張っている選手達、それを支える保護者、指導者の皆様が持つ数多のドラマに想像を張り巡らせてはリスペクトが泉のように湧き上がる日々。
涙腺も年々緩くなり、留まることを知りません。

8チームから12チームくらいの規模の大会、16チーム以上の大きな大会ともに情報は常に募集しています。
大会結果画像、弾けるような笑顔のお写真、選手達のご活躍の様子をぜひお寄せ下さい。いつでもお待ちしています!

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