ヴェルスリアンFCは長崎県佐世保市を中心に活動するサッカークラブ。
黒髪FCと佐世保FC、それぞれ約30年の歴史を持つチームが合併し、2024年現在、活動9年目になります。
選手たちにとって今必要なことは何か。将来どんな選手になってほしいか。
U-15チームを率いる柴藤 裕貴監督にお話を伺いました。
温かな思いが溢れるインタビューをぜひご覧ください。
お話を聞いた人
ヴェルスリアンFC U-15 柴藤 裕貴監督
ヴェルスリアンFC U-15 柴藤 裕貴監督
2006年 黒髪FCjrコーチ
2007〜2014年 黒髪FC jr監督
2015年〜 verslien FCジュニアユース監督
日本サッカー協会公認C級ライセンス
個のレベルを引き上げ、将来活躍できる選手に
ーーーヴェルスリアンFCはどんなチームですか?
柴藤 裕貴監督(以下、柴藤)
専門的な指導に力を入れています。
キーパーコーチが常駐しているほか、フィジカルコーチやトレーナーが定期的に東京から来てくれています。
ユースチームや強豪校との練習会も紹介できる環境を整えています。
1学年あたりの選手の人数は12、13人です。
佐世保にはたくさんのクラブチームがありますが、うちはアットホームな雰囲気でやっていますね。
多すぎない人数なので、選手同士がしっかり切磋琢磨できる環境ではないでしょうか。
ーーーサッカーの指導ではどんなことを大事にされていますか?
柴藤
『丁寧にボールを繋ぎ、攻撃的なサッカーをする』ことを大事にしています。
ジュニアの段階から、ボールを丁寧に扱うことの重要性を選手に伝え続けています。
目先の試合結果も、もちろん大切ですが、私が目指しているのは、高校生やその先のレベルで活躍できる選手の育成です。
高校やクラブによって戦術は様々ですが、どんな戦術にも柔軟に対応できる技術の高い選手を育てることが、私たちの使命だと考えています。
試合の場面ごとに、選手たちが自ら判断し、目的を持ってプレーできるようにしています。戦術をがっちり固定するのではなく、状況を見極めながら数的優位を作り、ゴールを目指すことを重視しています。
全員が同じ意識を持ってプレーすることが理想ですね。
少し独特な視点で選手たちを見ているところもあります。
足元の技術だけでなく、体全体の使い方に注視して指導を行っています。
選手がどの方向を見ているか、どう動くかといった部分まで細かくチェックしますね。
サッカーは足元だけでなく、上半身の使い方も重要です。
相手選手の動きや意図を読み取ることにまで繋がるような指導を心がけています。
選手が自ら考え、自分のプレーに責任を持つことを促す指導方針を大切にしています。
すべての答えを与えるのではなく、選手が自ら解決策を見つけるように導くことも、重要なポイントですね。
専門コーチとトレーナーが支える、技術とフィジカルの成長
ーーーゴールキーパーコーチやフィジカルトレーナーがいらっしゃるということですが、専門コーチの指導について教えてください。
柴藤
私自身もゴールキーパー出身ですが、チームには私を含めて3人のキーパー専門の指導者がいます。
それぞれが異なる経験や視点を持っており、そのため、選手たちは多角的にゴールキーパーとしての技術を学ぶことができます。
キーパーならではの視点から相手の攻撃を予測し、どこにシュートを打ってくるのかを瞬時に読み取る能力や、キーパーとして嫌な動きやポジショニングを理解することは、守備全体の強化に繋がります。
また、このゴールキーパーの視点は、キーパーに限らずフィールドプレーヤーにも非常に役立ちます。
キーパーの位置や動きに合わせて攻撃を組み立てるスキルは、攻撃的な選手にとって大きな武器になりますし、守備的な選手が相手キーパーの動きを予測することで、より効果的な守備を行うことができるようになります。
ーーーフィジカルトレーナーが2ヶ月に1回いらっしゃるとのことですが、どのようなトレーニングを行っていますか?
柴藤
加圧トレーニングを取り入れて、選手一人ひとりの体に合わせたトレーニングを行っています。
太もものサイズを測り、選手に応じて負荷を調整します。
2ヶ月に1回トレーナーがサイズを確認し、トレーニング内容をアップデートしていくんです。
1年生は慣れるまで別メニューで、段階的に強度を上げていくようにしています。
ーーー加圧トレーニングを取り入れた効果はどう感じていますか?
柴藤
選手たちはフィジカルだけでなく、精神面でも強くなっています。
フィジカルが強くなることで怪我が減り、成長期に合わせたトレーニングを行うことで、身長の伸びにも良い影響が出ていると感じます。
このトレーニングは試合にも好影響を与えていて、1人1人が確実に強くなっていますね。
保護者からも『チームで一緒に取り組めるのはありがたい』と好評をいただいています。
OBとの繋がりが広げる未来
挑戦し続ける選手たちへのエール
ーーーユースチームや強豪校の練習会を紹介できるというのもチームの魅力ですね。
柴藤
歴代のOBたちが強豪校に進学しているおかげで、自然と長崎県内の強豪校と繋がりを持てています。
OBの協力には本当に感謝しています。
ーーー選手の進路について、希望に応じたサポートはどのようにされていますか?
柴藤
3年生になると、進路希望調査を行います。
勉強で進学したい子、サッカーで進学したい子、希望はさまざまです。
子供自身だけでは判断が難しいこともありますが、希望に沿った練習会に参加できるよう手配します。
実力が伴わない場合もありますが、チャレンジすることは大切ですし、本人の気持ちを優先してサポートしています。
高校の監督から注目されている選手がいれば、練習試合を組んで見てもらうこともあります。
ーーー現在の選手やOBの皆さんに、どんなことを伝えたいですか?
柴藤監督
好きなことをとことん突き詰めて、簡単に諦めずにやり抜いてほしいということを伝えたいですね。
サッカーはもちろん、人生のあらゆる場面で、自分が納得するまでやり続けることが大切です。
『もうこれ以上やるべきことはない』という状態に達してから次に進んでほしいですね。
ーーーその大切な時期に、中学生の間にどんなことを学んで欲しいとお考えですか?
柴藤監督
その年代が今しかできないサッカーにこだわって欲しいですね。
小中学校の時期は、育成に特化することが望ましいと考えます。
もちろん結果も大事ですが、子どもたちが楽しめるように、努力が実を結ぶことを実感できるようにしたいですね。
勝つことが楽しくて、成長の手応えを感じられることが、子どもたちにとってのモチベーションになると思うからです。
ーーー指導者として最も嬉しいのはどんな時ですか?
柴藤監督
うちのチーム出身の選手が強豪校で試合に出る姿を見た時は、とても嬉しく思いますね。
厳しい練習や辛いトレーニングもありますが、それが結果として残り、選手たちの未来に繋がると信じています。
OBたちも、後から『あの時の経験が良かった』と言ってくれるんですよ。
今在籍している子どもたちは、その時は気付かないかもしれません。ですが後々になってわかってくれる日が来ることが嬉しいんです。
私たちは今は憎まれていてもいいんですよ。
後になって「柴藤さん、あの時はありがとうございます」って言ってくれるのが気持ちいいです。
OBたちが戻ってきて「あの時はこうでしたよね」というふうに話をしてくれること。
これは指導者にとって何よりの喜びだと思います。
最後に
OBとの絆、指導者の選手達への思い。
人と人との繋がりを活かした幅広いサポートがチームの魅力だと感じました。
「サッカーを通じて自分の限界に挑戦し、努力を重ねる姿勢を大切にしてほしい」というメッセージに、胸が熱くなりました。
選手が成長し、後に感謝の言葉を伝えてくれることが、監督にとっての何よりの喜びとなっているのが印象的です。
柴藤監督、貴重なお話をありがとうございました。
チームのますますのご活躍をお祈りしています。
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