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「未来のヨーロッパチャンピオンズリーガーを育てる力」アンジョイU-15 冨永 耕也監督インタビュー

鹿児島を拠点とするアンジョイU-15は、冨永 耕也監督の指導のもと、選手たちの無限の可能性を引き出す育成型サッカークラブです。

技術だけでなく、フィジカルやメンタル面の強化、血液検査を用いた身体つくりまで徹底し、高校進学後も「選ばれる選手」を育てることを目指しています。監督自身の夢である、鹿児島からヨーロッパチャンピオンズリーガーを輩出するという高い目標にも注目です。ぜひお読みください!

「ピッチ外で仲間をサポートできない選手が、ピッチ内でできるはずがない」

ーーーチームのトレーニングの中に、たくさんの種類のトレーニングを取り入れているようですが、どういう方針でトレーニングを行っていますか?

冨永「チームを立ち上げて3年目になりますが、最初から「本気で選手達とフットボールをする」という方針で始めました。チームを作るにあたって、他のチームと同じことをしていてはダメだと思ったんです。それでチームフィロソフィ(オンザピッチとオフザピッチでの振る舞い)を作り、次にプレーイングフィロソフィ(ピッチ上での必要な技術的、戦術的要素、各エリアでの共通認識)を作成しそのフィロソフィに基づいたトレーニングや行動規範を徹底して伝えています。でもなんだかんだいって成長に一番大切な事は頭の中を整理させてあげること、思いっきりフットボールを楽しむことですね。」

ーーー中学1年生で入ってきた子どもたちが、3年間でどんな風に成長していきますか?

冨永「例えば、ピッチ上で「仲間をサポートしよう」と教えると、それがピッチ外でも自然と現れるようになります。荷物を手分けして持ったり、困っている仲間を助けたりするんです。1年生の時は道具をなくしてしまうこともよくありましたが、3年生になった現在はしっかり整理整頓もできるようになります。今では、3年生が率先してチーム全体をまとめてくれますよ。」

ーーー中学生でそのレベルまで成長するなんてすごいですね。

冨永「そうですね。すべてがフットボールに繋がっているんです。ピッチ外で仲間をサポートできない選手が、ピッチ内でできるはずがないという考えを常に伝えています。」

ーーー試合後に選手たちにインタビューをすると、しっかり自分の考えを話せる子が多いのが印象的です。日頃からアウトプットする機会を意識しているんですか?

冨永「そうですね。インプットとアウトプットは非常に大事にしています。普段のトレーニングや試合で学んだことを、しっかり言葉にして表現することが重要です。

選手たちには、よく「貯めたものを吐き出さないと次のインプットができないよ」と言うんですが、サッカーでも学びでも同じことです。選手たちには自分の疑問や考えを言葉にして伝えること、そしてプレーで挑戦することを常に促しています。」

「感謝神経」を育てる「ありがとう探し」

ーーー保護者にとっては、サッカーが上達するだけでなく、人間的な成長も魅力的に映るのではないでしょうか。

冨永「そうかもしれませんね。実は試合や遠征のバスの中などで選手達に一発芸を披露してもらったり、「感謝神経を鍛えよう」と言って感謝の気持ちを探すゲームをしています。

1人ずつ24時間以内に感謝したことを発表していくのですが、3周もすると些細なことでも感謝の瞬間を探そうとするんですよ。

「お母さんがこの準備手伝ってくれた」とか、中には「プレーがうまくいかなくてへこんでる時に仲間が声を掛けてくれた」など普段意識していない、何気ないことでも探そうとする。これも人間的な成長に繋がっているのだと思います。」

ーーー1周ならすぐに出てきそうですが、3周もすると難しそうですね。

冨永「そうなんです。だからこそ、いろんなことに目を向けるようになるんですよ。感謝することが当たり前になってくるんです。」

ーーー中学生は反抗期もある時期ですが、その点はどうですか?

冨永「そうですね。意外と、うちの子たちは素直な方なんですよ。反抗期らしい反抗期はあまり見られませんね。チームとしての一体感が強いからかもしれません。」

ーーー監督も遠征や特別な場面で一発芸を披露したりすることもあるんですか?

冨永「ええ、先日愛媛の遠征でやりましたよ(笑)。年に1、2回くらいやりますね(笑)」

子どもたちを次のステージへ押し上げる育成力

ーーーこういう環境で育った子どもたちは、高校でもサッカーを続けようとする気がします。進学についてもやる気を持っているようですか?

冨永「高校サッカーでもJユースでも義務教育が終わると、中学生たちは「選ばれる側」になるんだということを常に話しています。
高校は今までとは違うんだ、選ばれる選手になるために努力しないといけない、と繰り返し伝えています。監督やチームが変われば当然プレースタイルも変わりますが、それに順応しながら自分のフットボール人生を切り開いていくべきです。今の3年生たちは、ある程度そういう心構えができていると思います。」

ーーー高校に進んだ時の心構えが大切ですね。

冨永「そうですね。ほとんどの子はサッカーを続けると思います。自分の夢は、うちの出身者からヨーロッパチャンピオンズリーガーを出すことです。そのベースがアンジョイU-15で作られたと感じてもらえれば嬉しいですね。
うちのスタイルに追いつけなくて辞めてしまう子もいます。うちのチームは基本的にボールを大事に繋げるフットボールスタイルを確立しています。フットボールにはテクニック、戦術、フィジカル、メンタル。この4つの要素全てが求められるんです。簡単で判断の無いプレーに流されることなく、これで負けるなら仕方ない、という覚悟も持っています。ただ当然、勝利にも拘っています。大切な事は勝利だけが全てではない。勝利に対する情熱こそが全てだと」

ーーー高校のコーチングや指導方針に応じて、選手たちは自分のポジションを確立していく必要がありますね。

冨永「そうですね。自分も鹿児島実業高校出身ですが、鹿児島には高校年代で日本一を目指すチームが多いと感じます。恐らくこれは県民性ですかね。そんな環境の中、高校やJユースの監督がどう指示を出しても、自分のフットボールIQを発揮できれば、絶対に選ばれていく。そう思います。その為に普段のトレーニングではコーチングスタッフとして、コーチがもう1人と、ゴールキーパーコーチ、そしてフィジカルコーチがいて選手達の指導にあたっています。
フィジカルコーチは「KOBAトレ」の資格も持っていて、鹿児島で走りの教室を開いている方なんです。30メートル走やアジリティ走を光電管で測定して、データを蓄積してくれます。そのデータを元に、1ヶ月後に0.何秒縮まったというのが選手のモチベーションにも繋がっています。」

ーーーゴールキーパーコーチの存在もチームにとっては大きいですね。

冨永「はい、ゴールキーパーコーチもそうですし、年間のトレーニング計画も重要です。プレーイングフィロソフィーに基づいてトレーニング計画を立てていますが、必ずしも計画通りに進むわけではありません。例えば試合前に相手チームの対策を考える必要があったり、臨機応変に対応する場面も多いです。」

ーーー血液検査を取り入れていると伺いましたが、それはどうして始めたんですか?

冨永「血液検査をして、どの栄養素が不足しているかを見て、それを食事やサプリで補うという形で取り入れました。サッカーではテクニック、戦術、フィジカル、メンタル、この4つが揃って初めて成り立つと思っているので、フィジカル面の強化も重要視しています。」

ーーー自分の血液検査の結果を見て、子どもたちはモチベーションが上がるんでしょうか?

冨永「そこまではまだないですね。中学生ですから。ただ、結果を見た親御さんと一緒に取り組んでいます。データを見ると、やはり成長期の学生アスリートは鉄が不足していることが多いんです。例えば鉄分を補う為にレバーやほうれん草を調理して食べる事自体、調理にも手間と時間がかかります。そこでサプリで簡単に摂取できるようにしています。」

ーーースポーツ性貧血もよく聞く話ですし、親御さんのサポートは重要ですね。

冨永「そうなんです。親御さんの協力は絶対に必要です。子どもたちを育てるには、家庭と一緒に取り組んでいくことが大切です。」

鹿児島からヨーロッパチャンピオンズリーガーを輩出する、世界的な目標

ーーー監督自身が目指しているサッカーの形が、今のチームのスタイルに繋がっていると思いますが、どのようなビジョンをお持ちですか?

冨永「自分の一番の夢は、鹿児島からヨーロッパのチャンピオンズリーガーを輩出することなんです。鹿児島県出身者でまだチャンピオンズリーグに出た選手はいないんですよ。

日本代表には何人もいますけど、やっぱり「井の中の蛙」ではダメだと思っていて。自分にもメンタルやフットボールの師匠がいて、その人たちの元で学びながら、もう4年、5年ほど勉強を続けています。

僕は自分の名声が欲しいわけじゃなくて、子どもたちの可能性は無限大だと思っているんです。彼らには限界を決めず、大きな夢を持ってほしいんです。だから、僕も町クラブからでもヨーロッパを目指せるという姿勢でやっています。」

お話を聞かせてくれた人

アンジョイU-15
冨永耕也監督

 

寄稿者プロフィール

JUNIOR SOCCER NEWS統括編集長/事業戦略部水下 真紀
Maki Mizushita
群馬県出身、東京都在住。フリーライターとして地方紙、店舗カタログ、webサイト作成、イベント取材などに携わる。2015年3月からジュニアサッカーNEWSライター、2017年4月から編集長、2019年4月から統括編集長/事業戦略部。2023年1月からメディア部門責任者。ジュニアサッカー応援歴17年。フロンターレサポ(2000年~)

元少年サッカー保護者、今は学生コーチの親となりました。
見守り、応援する立場からは卒業しましたが
今も元保護者たちの懇親会は非常に楽しいです。

お子さんのサッカーがもたらしてくれるたくさんの出会いと悲喜こもごもを
みなさんも楽しんでくださいますように。

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