2021年度、記念すべき第100回大会が行われた全国高校サッカー選手権大会。
数々の熱いドラマが生まれました。
インタビューでの選手達の言葉から、第100回大会を振り返ってみました。
出場選手たちの等身大の言葉には選手権にかける思い、彼らの成長が伺えます。
「決めるチャンスは他にもまだまだあった」
静岡学園 古川 陽介 選手
静岡学園高校 古川 陽介 選手(3年生 MF 大会優秀選手)
開幕戦ということで開始早々1点取れたことはすごく大きかったが、前半に2点目を取れなかったことは今後の反省材料として生かしていきたいところ。
後半はチャンスでしっかり決めることはできたが、決めるチャンスは他にもまだまだあった。攻守の切り替えももっと高めることができると思うし、セカンドボールなどの意識も上げていきたい。自分の中ではいつも得点を意識している。ドリブルだけで点を取りに行くのは警戒されていると思ったので、ワンツーという得意な形、良いコースで、まずは1点取ることができて良かった。
結果は残せて良かったが、チームとしても個人としても、ミスをなくしたり、ボールの質だったり、もっとこだわれる部分はあったので、この大会を通して成長していけると実感している。初戦どうしても気負ってしまったが、試合後に松村優太さんが「もっとリラックスしていいよ」と声をかけてくれて嬉しかった。
「しっかり我慢出来て最後に追加点を取れて勝利したので、とてもいい試合だった」
佐賀東高校 吉田陣平選手
佐賀東高校 吉田陣平選手(3年生 MF 大会優秀選手)
早い段階で先制点を取れたが、その後は押し込まれて自分たちが我慢する時間帯が多かった。
しっかり我慢出来て最後に追加点を取れて勝利したので、とてもいい試合だったと思う。
組み合せ抽選後対戦相手が前回王者の山梨学院になったことは、凄くモチベーションになった。
絶対倒して次にいってやるとみんなで決めて、良い雰囲気で練習に臨めた。
大会前3月に山梨学院と対戦し3-1で勝利したことが、自分たちのサッカーが通用すると自信がついた。
今年のチームは守備が不安定で失点を少なくするのが課題だったが、全国大会のこの試合で無失点に終われたのは今までやってきたことの成果が出たと思う。
個人として、これからプロ(新潟内定)でやっていく中で選手権で注目されればプロでも注目される良いチャンスと思い今大会に臨んだ。
3回戦の相手はプレミアリーグだが、あまりリスペクトし過ぎずに自分たちのサッカーで相手を圧倒できるぐらい余裕を持って次の試合に臨みたい。
佐賀東としては最高ベスト16だが歴史を塗り替えるのが目標ではなく、あくまでも全国優勝が目標なので一つ一つ勝ち上がって全国優勝を果たしたい。
「凜生を救ってあげようという思いで気合を入れて止めた」
矢板中央 藤井陽登選手
2回戦 米子北(鳥取) 2-2(PK2-3) 矢板中央(栃木)
矢板中央 藤井陽登選手(3年生 GK)
まずはPK戦ですが勝てたことが嬉しく思います。
相手の情報としてキーパーを見てくるということがあったので、先に飛ばずに溜めてから反応しようと思っていた。
練習からそれを意識してやっていたので、PK戦でもそれが活きた。
3年連続なので、PK戦も楽しかった。去年まではプレッシャーや緊張もあり固かったが、今回はリラックスして楽しくできた。
大畑凜生選手はチームを引っ張ってくれている選手でもあり、寮の同部屋でもある。
大畑選手には俺が止めるから下を向くなと言った。
凜生を救ってあげようという思いで気合を入れて止めた。
大畑選手からは「助かった」と言われた。
1本目は相手がうまかった、2本目は読みはあってたが止められず、3本目は止めて、自分が連続で止めれば勝てる!と思った。
去年のPK戦は自分が先に動いてしまって決められていた部分があったので、先に動かないように意識していた。
去年の反省を活かしてPK戦になったらこうしようという気持ちでいた。
後半の2失点目は自分のミスだった部分もあったので、やってしまったなと思ったが、PKに向けてここは俺が止めなきゃなと思っていた。
チームを救うのはキーパーだと思うので、PK戦で勝たせられてよかった。
試合中は下向かずに、落ち込まずに前向かせてしっかり戦わせるという声掛けを心掛けた。
みんなそのように戦ってくれた。
インターハイで自分のミスで負けてしまって、選手権でインハイの借りを返すということ、そしてチームの日本一への目標などを持って入った。
「中にいる選手に気持ちよく決めてもらえるようなボールをセットプレーでは蹴りたい」
高川学園高校 山崎 陽大選手
高川学園高校 山崎 陽大選手(3年生 DF)
風下に立って難しい試合だったが、後半風上になってセットプレーで1点取れた。
全員で勝ち切れたと思う。
アイコンタクトで落とす場所、高さなどは決めているが、中にいる選手に気持ちよく決めてもらえるようなボールをセットプレーでは蹴りたい。
奥野選手がケガをした分、自分がしっかりプレーしなければならないと思っている。
サッカー以外の部分でも自分たちが成長してきている、ということを証明できているようで嬉しい。
「PK戦は楽しんだ者勝ち」
関東第一 笠島 李月選手
準々決勝 静岡学園(静岡) 1-1(PK3-4) 関東第一(東京B)
関東第一 笠島 李月選手(3年生 GK)
今日の試合は守備の時間が長かったが、前半を守り切ることが出来た。
静岡学園はパスワークなど、技術力が高いチーム。失点してからも守ることが出来、最後に追いつけたのは良かった。
今日のクロスはいつもに比べてライナー気味のボールが多く、少し対応が難しかったが高いボールに関しては自分は自信があったので、ボールを見過ぎないということを意識して中のマークがずれないように指示を出すことを心がけた。
PK戦に関しては尚志戦での勝利が自信に繋がったと思う。
今日は最初、逆を突かれてしまったので次からはボールに合わせることを意識した。
「PK戦は楽しんだ者勝ち」だと尚志戦で勝てた時に強く感じた。
「他チームのGKとの勝負」として捉えたり「みんなが注目する中で止める」ということもPK戦の面白さだと思う。
大津は誰が見ても自分達より格上のチーム。相手への対応をチームで話し合い、共通意識をしっかり持って臨みたい。
開幕戦で出来た国立のピッチが一番最高の舞台だと思ったので、もう一度出来ることが嬉しい。
相手に引っ張られることなく、自分達のリズムを作って戦いたい。
「3冠と口にしていたが、一戦一戦しっかり戦うことに意識を向けてやってきた」
青森山田 松木玖生選手
青森山田 松木玖生選手(3年生 MF 主将 大会優秀選手)
今日の試合は今シーズン通して1番、2番を争うくらいの出来だったかなと思う。
前半1点目の直前は、チームに勢いがなくなっていた時間帯だったので、自分でドリブルを仕掛けてコーナーを取りに行くことでチームを鼓舞する姿勢を見せた。
そこでコーナーを取れて、「このコーナーで行くぞ」とみんなには声をかけた。
このプレーが得点に繋がって良かった。
3度目の正直という形になったが、この選手権に対して自分が全国で一番悔しい思いをしていると思い、そしてこのチームなら優勝できると感じていたし、みんなに感謝している。
3冠と口にしていたが、一戦一戦しっかり戦うことに意識を向けてやってきた。
宇野選手以外の選手とボランチをしたことがないのでわからないが、自分としてはとてもやりやすい。
ボール奪取する力などは自分も学びたいところがある選手。
そういう選手が相方で、一番近いところで一緒にやってきて、みんなで3冠が達成できて嬉しい。
決勝戦のアップの時に最高のアップができた。
このアップの状態でこれは勝ったなと感じた。
このチームはキャプテン、キャプテンじゃないということに関係なくみんなが意見もいうし、お互いに聞く耳を持てるチームで、チームの団結力がすごくあった。
1年生の時は自由にやらせてもらい、2年生は個でいきたいなという気持ちも湧いてきていた、今年の3年生の時は自分が犠牲になってもとにかく勝ちたいという気持ちになった。
自分が犠牲になったことで、点が自分でも決められるようになったし、犠牲になれば結果がついてくると感じた。
プロになりたい、選手権で優勝したいと思って青森山田に進学してきて、6年間の中で難しいなと思う部分もあったが、ここでたくさんの得たものを今後に活かしていきたい。
「チームみんながキャプテンという意識でやる、チームのために声を出す、球際で戦う」
青森山田 丸山大和選手
青森山田 丸山大和選手(3年生 DF 大会優秀選手)
去年は自分はスタンドから見ていて、本当に悔しいという気持ちだった。
その悔しさはこの大会でしか返せない。優勝しないと悔いが残ると思い、3年間の集大成と思ってやり切れたことが今日の勝利に繋がったと思う。春先は守備が総入れ替えして、前と後ろのバランスが悪く、監督や選手から怒られっぱなし言われっぱなしだったのが悔しかったが、言われ続けたことを悔しいと思い、それをなんとかしようと頑張ったことが力になった。
去年、PKをボランチの相方の椋平(三輪椋平)が外してから、椋平はあの時の感情を抱えながらやってきたと感じていた。
自分のためにも椋平のためにも、お互いに(ダブルボランチで)助け合いながら日本一が取れて良かった。
大津はプレミアの強豪。
攻められる時間帯や失点の不安もあったが、気持ちの面で負けない、勝ちたい気持ちが強い方が勝つ、と思っていた。
今日は大津に対して9番の191センチのFWをどう跳ね返して、どう潰していくかをずっと椋平とも話し合ってきた。
身長差が自分とは12,13センチあるが、今後のサッカー人生を考えても、そういう高身長の選手とマッチアップすることもあるだろうし、身長差のせいにしていたらそこまで。
何がなんでもという気持ち。
何本が競り負けたシーンもあったがシュートを打たれたプレーも少なくて良かった。
ヘディングでの得点に関しては、質の良いボールが入ってくると信じて飛び込んでいる。
セットプレーは自分がターゲットとしてやってきたので、責任感もあった。
みんなが自分のためにスペースを空けてくれて、良いボールを藤森選手が上げてくれたのも、得点できる要因。
ずっと同じことをやっていたも読まれてくるので、自分はどこに入っていけば点が取れるのかを常に考えている。
ノーマルで一発決めようと思いニアに要求して、そこに蹴ってもらって得点できた。
チームみんながキャプテンという意識でやる、チームのために声を出す、球際で戦う、という意識で松木だけではなく一人一人がキャプテンだという気持ちを持てたことが勝利につながったと思う。
3冠は奇跡というか簡単には成し遂げられないことだと思うので、今年1年、1試合1試合に対して120%出し切って勝ち切れるかということを大切にしてチームで乗り越えてきた結果だと思う。
自分個人としては、監督の要求を信じてやってきた1年間だった。
監督コーチに感謝しながら、この喜びをみんなで分かち合いたい。
その時その時の、ありのままの言葉
記念すべき第100回大会でも、多くのドラマが生まれた全国高校サッカー選手権。
今年もまた、選手達の高校生らしい等身大の言葉が心に残りました。
「勝利したけれど、まだまだやれることがあった」
「難しい勝負に勝てたことが素直に嬉しい」
「仲間を救いたかった」
その時その時の、今の選手達から溢れ出るありのままの言葉だからこそ、胸に響くものがあります。
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