4つの原因別「やる気がない」対策
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【つまらない】って言われても…
親が返答に困る理由ですよね。説明するのが面倒くさくなる高学年に多い答えです。プチ反抗期、思春期に入っている可能性もあります。俗に「中2病」と言いますが、サッカーが上手な子は精神年齢の高い子が多く、中学を待たずに始まることも多いようです。
何がつまらないのか?人間関係?プレー?それとも、理由なくむしゃくしゃしているのか?
良い機会なのでそこもさらにじっくり掘り下げましょう。ここで躓いていることは、今後も躓きます。人間関係で躓くことは、人間関係が今後も弱点になる可能性があるということです。
これからはじまる中学生年代の思春期に向けて、親子ともに心の準備をしておく上で「○○に躓きやすい」と知っておくことは、心理的な衝撃を和らげる効果があります。
【つまらない:活躍できない】
この後ろには、「活躍したいのに!」という思いがあります。このタイプの子は基本的に、放っておいても自然に伸びてきます。
「活躍したい」は、内面的なモチベーションが空回りしている状態のことです。保護者が手を貸すとしたら、
・活躍できるように何をしたらいいか、一緒に考える
ことです。
高学年の場合は、主導権はあくまでお子さんにあげてください。そろそろ、自分の人生の主人公は自分だと気付き始める時期です。ここで気付いておかないと、進路選択の際に自分で道を選べなくなってしまいます。
【つまらない:プレー】
プレーがつまらなくなっている場合ですが、サッカーがつまらなくなったことのないプロ選手はいないのではないでしょうか。
「つまらない」とは、「もっと面白くなりたい」の裏返しです。きちんと向き合えば、お子さんが成長するチャンスになります。
【つまらない:理由なし】
photo:Ken Wilcox
理由なくむしゃくしゃしている場合は、睡眠不足や疲れがたまっているなどの肉体的な問題のほか、心の成長に体が追い付かず(あるいは逆)、ホルモンバランスが乱れている可能性があります。この状態を俗に「中2病」といいます。
サッカーに限らず、自分の頭で考える訓練をしている子は精神年齢が標準より高くなります。そのため、中学生を待たずして小学校のうちからこの状態に陥ることがあります。
どんなに強豪のクラブチームにも、「中2病」というのはあるそうです。もし、お子さんを見て「中2病」と判断したら、しばらく様子を見るに限ります。
※中2病は、病名ではありません。思春期特有の思考状態を概して言う俗語です。
【つまらない:人間関係が良くない】
子どもは全員、自分が主人公です。主人公の立場を脅かすような存在からは遠ざかりたくなります。これは当然の感情です。
サッカーが好きで、人間関係が悪いからつまらない場合、チームを移ることを考えるのも悪いことではありません。
日本のクラブチームでは、他のチームに移動することを「裏切り」であるかのようにとらえることがあります。決めたところで最後までやり抜くことを美徳とする文化があるからのようです。
ただ、移籍を考えるには、いくつかのデメリットを知っておくことが大切です。
・仲間との関係が切れるわけではないこと
小学生年代のチームは、同じ小学校、同じ地域に住んでいる仲間がほとんどです。今のチームをやめた場合でも、住むことをやめるわけにはいきません。チームメイトとの人間関係が原因だった場合、移籍して問題終了にはならないのです。
・もとのチームに戻るのは難しいこと
日本では、元のチームに「前と同じように」受け入れてもらえる可能性はほとんどありません。
「やる気」を出すために有効な3つのこと
photo:Rama V
ジュニア選手の人格はまだまだ未完成です。プチ反抗期に入っていたとしても、保護者の助けは必要です。
まじめな方法から、ちょっと遊びの方法までご紹介します。
①短期で達成できる目標を作る
まじめな子に多いのですが、目標が遠く大きく、夢と現在の自分のギャップに苦しんでしまったり、遠すぎて呆然として返って目標を見失う子がいます。
目標からの逆算は大事ですので、それはそのままに、目標を少し細分化してあげるお手伝いをしてあげてください。
「毎試合1点決める」など、限られた子しかできない無茶な夢を立てがちなジュニア選手に、「ゴールを決めるには何が必要かな?」「キックがあと1メートル飛ぶといいね」など、小さくて具体的なアドバイスをあげられるのは、親だけです。
本では、川島永嗣選手の『準備する力 夢を実現する逆算のマネジメント』などは、大人にも読みごたえがあります。
②グラフを付ける
成果が出ないとやめてしまう、続きにくいというのが課題になっている高齢者のためのウォーキング手帳は面白い仕組みになっています。
グラフが累計式なのです。
普通、グラフはその日にやった量を付けて線で結ぶので、波になるのが一般的です。やらなければ下がり、やれば上がります。「折れ線グラフ」というものですね。
ところが累計式のグラフは、いつまでも右肩上がりです。やらなければ横ばいになるだけです。
こうなっているのは「モチベーションを維持するため」だそうです。常に右肩上がりになることによって、横ばいが続くと「もう少しやろうかな」という心理状態になりやすいのだそうです。
下のグラフは、折れ線グラフです。
例えば、パス成功回数を付けた時に、このように落ちる部分が出てきてしまうと、そこでやる気は失われがちです。
ところが、累計式のグラフでは、こちらの赤い線のようになります。
photo:David Carrington
横ばいにはなっても下がることはありません。リフティングの回数などを付けると、どんどん上がっていきます。紙を注ぎ足さなくてはならないこともあります。
この方法は、「自分は伸びている!」という実感を与えられる方法です。リフティング回数、シュート数、パス成功回数、ドリブル成功回数、ダッシュ練習数など、いろいろな項目で使えます。
③スポーツマンガの力を借りよう!
中村憲剛選手が『キャプテン翼』、内田篤人選手が『SLUM DUNK』、権田修一選手の『GIANT KILLING』など、熱中するスポーツ漫画を持っている選手はたくさんいます。
モチベーションを向上させたり、やる気を出したりするツールとしてマンガの力が上げられます。サッカー漫画に限らず、スポーツマンガはたくさんあります。
保護者の方が若いころ、夢中になったスポーツマンガはありませんか?思い出してお子さんと共有してもよいですね。
ちなみに、Nunberの35周年記念で発刊された『スポーツ漫画最強論』では、上記の3つをはじめサッカージャンルでは『シュート!』『オフサイド』『俺たちのフィールド』『ホイッスル!』『Days』などが取り上げられています。
チームのみんなで回しあっても盛り上がりますよ。
いろいろな方法を試して、輝く「やる気」を取り戻してくださいね。
最後に
やる気が出ない子を見ているのは、親としても時につらいものです。またその原因が理解できなかったりすると、困惑したりいらだったりしてしまいますよね。
ただ、やる気が出ないときに一番つらくて葛藤を抱えるのは選手本人です。やる気のない時期は一度で終わるものではありません。これから何度も陥ることがあります。
今は保護者が手を貸せても、自立する日はやってきます。その日以降は、ひとりでその葛藤と立ち向かわなければいけません。いまの「やる気のなさ」を乗り越えるのは、その時のための練習です。
お子さんのやる気がでなくてこれを読んでいらっしゃる保護者の方、輝く目でプレーするお子さんを楽しみに待ちましょう!
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