※この記事は再掲です
全国大会に出場経験があり、卒業生にはJリーガーを輩出するなど全国的にも注目される少年サッカークラブ RIP ACE SOCCER CLUB(リップエースサッカークラブ、以下リップエース)は大阪府堺市で活動をしているチームです。
弊社「【独自調査】全国ランキング みんなが見てるジュニアサッカーチーム(4種)ってどこ?アクセスランキング【2019年度下半期】」では堂々の第1位となりました。
今、注目を浴びるリップエース。
どのようにしてできたのか?指導する上で大切にしているものは何か?立ち上げ当初から選手たちを指導されている今村監督にお話を伺いました。
(写真提供・引用/今村監督・リップエースFacebook 電話取材・文/choco)
↓本文は写真の下から始まります↓
リップエース 今村 康太 監督 インタビュー
今村 康太 監督 プロフィール
習志野高校から桃山学院大学へ進学。
大学在学中、堺市で活動していた竹城台FCでコーチとしてアルバイトをしていたことがきっかけとなり、当時、同じ大学に在学中だった守山真悟氏と二人で、大学3年生の時(2002年)にリップエースを立ち上げた。
金髪、ロン毛の二人
― リップエース発足について教えてください。
今村監督
習志野高校から関西の桃山学院大学へサッカーで進学したのですが、大学3年生の時にプロになるのを諦めました。
ちょうど、その頃にサッカー少年団でアルバイトをしていたサッカー部の先輩の勧めで、サッカー指導のアルバイトを始めたんです。それがリップエースの先駆けとなる竹城台FCでした。
当時の竹城台FCは、保護者がボランティアで団長を受け継ぐ、20人ほどの選手が所属する地域の小さなサッカー少年団でした。
保護者の方々が受け継いで運営されるのも大変だろうし、指導もアルバイトの大学生だったので、子どもたちにとっても指導者がきちんと決まっていたほうがいいのではないかと思い、「クラブチームとして立ち上げるので自分たちに引き継がせてください」と保護者にお願いしたんです。
そして守山を誘って、少年団だった竹城台FCをクラブチームとして立ち上げ、名前もリップエースと変え共同経営を始めました。ちなみに、守山は就職の内定も決まってたんですけどね(笑)
― 就職も決まっていた?! 守山監督と一緒にリップエースを発足されたんですね!
今村監督
はい。
守山は草津東高校から桃山学院大学に来ていて、サッカー部の寮で同じ部屋だったんです。誘った時には、彼は就職の内定も結構いっぱい決まってたんですけどね、「一緒にやろか!」って言ったら「おぉ!ええよ!」って感じで(笑)ジュニアを守山が担当して、僕がジュニアユースを担当するという形でリップエースは始まりました。
その頃は自分も守山も20代で若かったし、金髪でロン毛だったんです。
当初うちのチームの攻撃スタイルも、今とは正反対のドリブルサッカーで「オラオラ!行け行け!」と個人技で攻めるサッカーをしていました。
チャラチャラした格好の監督が指導していて、迷彩柄ユニフォームのガラの悪そうなチームとうわさは広まり「リップエースとは練習試合をするな」と堺市のサッカーチームにFAXで指令が流れたことがあるらしいです。
最初は誰にも相手にされないような感じだったので、いろんなチームの懇親会があると聞けば、勝手に乱入し他チームの監督たちと交流を深める…そんなことなんかもしましたよ。(笑)
― 金髪でロン毛?それに当時は珍しい迷彩柄のユニフォーム!なぜ、ユニフォームを迷彩柄にしようと思ったのですか?
今村監督
発足当初は違うユニフォームだったんですよ。ズバリ赤と青でした!ズボンのお尻にはハートマークを入れて(笑)。
というのも、守山は草津東高校出身でユニフォームは青、ライバルの守山北高校は赤だった。僕が通っていた習志野高校のユニフォームは赤でライバルの市立船橋は青だった(笑)
だから結局、ホームとアウェイで赤と青にしていたのですが、二人とも何かしっくりこない…
自分たちの色って何だろう、他のチームにないものってなんだろうという話になった時に、当時どこも使っていない迷彩柄だ!となったんです。
この迷彩柄のユニフォームに関しても、今までいろいろとありました。
まずは、ジュニアユース初出場の関西の大会で迷彩柄のユニフォームが大問題になり話し合いが行われました。結局は、レギュレーションに引っかからなければ大丈夫という結論に至り、そのまま出場することができました。今となっては迷彩柄のチームも増えましたし、日本代表までも迷彩柄のユニフォームを着る時代となりましたけどね…
迷彩柄は兵士や自衛隊や…あの当時は、まだ戦争などイメージさせるなどの意見もあり、かなりのブーイングを受けました。。
それから面白かったのは、よくチーム同士の色が被ってユニフォームを変えるということはありますよね?うちのチームがレフリーから受けた注意は「後ろの森と被るからユニフォームを変えてくれ!」でした。まさかの周りの森との同化!本来の目的を果たしているわけですが(笑)そこは思いもつかない盲点でした。
― 最初のユニフォームにはズボンにハートマークが入っていたんですか?ハートマークといい、迷彩柄といい、斬新ですよね。
今村監督
ハートマークにも迷彩柄にも意味があるんですよ。ハートマークには気持ち(戦え)を出せ!という気持ちを込めていました。迷彩柄も「戦う」というイメージがありますよね?なので、どちらにも「気持ちを出して戦おう!」という思いがこもっているんです。
今はルールが変わってしまい、ズボンのお尻の部分にプリントがあるものは公式戦では使えなくなったので、ハートマークはありませんが(笑)
心を大切にする指導と15年前に取り入れた戦術的ピリオダイゼーション理論
― リップエースはどんなサッカーをするチームですか?
今村監督
一言で言えば、戦術的ピリオダイゼーション理論に基づいたサッカーです。15年前にどこよりも早く取り入れました。
簡単に言うと「サッカーが上手くなるためには、サッカーをすることで上達する」という考えに基づいた理論を取り入れてトレーニングするんです。一つ一つを切り取って考えず、サッカーを全体でとらえて考えて理解すると表現すると伝わるでしょうか…
日本のサッカーは、要素的還元論つまりサッカーの基本となる戦術・体力(走るなど)・キック・パス・ドリブルと細かく分けて練習するというのが根付いています。
そうではなく、サッカー全体を常に考えながら実践に基づいたトレーニングを行うということです。言うなれば、戦術的負荷を伴う頭を使わないトレーニングをやらないということなんです。
戦術的ピリオダイゼーション理論と、もう1つ、それに伴う動作改善が大切です。リップエースにはサッカーをする上で動作がスムーズになるオリジナルの動作理論というのがあります。この2つの理論が合わさった時に最高のパフォーマンスを引き出せるようなサッカーの技術的指導をしています。
― 他にもこだわって指導してらっしゃることがありますか?
今村監督
一番はオフザピッチの部分が重要だと思っています。
ロン毛金髪だったんですけど、実はめっちゃサッカー小僧で(笑)心の教育という部分を大切にしていて、態度教育・表現教育・継続教育を3つの分野に分けて取り組んでいます。
態度教育は心をきれいにするという意味で、選手たちは挨拶や返事を徹底したり、靴や持ち物を揃えたりすることを学んでいます。
表現教育や継続教育という部分では、表現したり心を強くするということですね…
昔は選手たちが毎日書いたサッカーノートを集めてスタッフでチェックしコメントていたんですけど、今はアトレータという体調管理のアプリを使っています。
選手たちには毎日の食事、睡眠時間や体重などを記録してもらっているんです。食事の写真を撮って記録するとカロリーなどが出てくるんです。そうすることによって自己管理の大切さも学んでいると思います。
それプラス、目標を達成するために毎日やらなければならないことを考えさせ数値化・具体化して、行動に繋げるために目標設定シートをつけさせています。それを僕たちが毎日必ずチェックしていて、選手たちとのコミュニケーションツールにもなっています。サッカーのことはもちろんですが、彼女ができたなどサッカー以外のことを報告してくれる選手もいて、子どもたちの書いていることに毎日コメントを返すのも楽しみです。
どちらかと言うと、この心の部分である「サッカー以外のこと」を大切に指導しています。今はサッカーをしていてもプロサッカー選手になれるのは、ほんの一握り…社会に出て通用する選手を育てたい。人間性の成長を大切に育てることに力を入れています。
コロナ自粛期間中、リップエースから元気の発信を!
― 新型コロナウイルス、チームの活動にどのような影響がありましたか?
今村監督
もちろん活動休止しましたので、個人でできるトレーニング動画を編集してクラブ員に流してwebトレなどをしていました。
卒業生のJリーガーなどにも動画や応援メッセージをお願いしたりもしたんです。
そんな中、「僕らだけ元気をもらってもいかんな…」と思い、僕らからも何か発信できないかと思ったのがきっかけで、選手たちの出身チームに動画を送ろうということになったんです。
― 素敵な取り組みですね!選手それぞれの出身チームに動画を発信されたのですね。
今村監督
もともとリップエースの選手たちは、毎年 夏過ぎ頃に出身チームへ挨拶に行くんです。その時に、今やっていることや後輩たちへ向けてのメッセージを迷彩柄の紙に各自で書いてまとめ、それをパウチしたものを出身チームにそれぞれ持って行って、お世話になった監督に挨拶をするという形です。
動画もその延長線でして、近況報告を紙に書いていたものが動画になったということです。今回の動画も選手たちは楽しんで取り組み、サッカーのことに限らず漫才や面白い話をする選手もいました。とにかく元気を発信して、みんなに楽しく元気に過ごして欲しかったんです。
今回のこの経験から、毎年の挨拶も今までは書いてまとめていた紙ベースだったのですが、新しいコンテンツとして喜んでいただければ動画編成でも面白いのかなと思っています。
― お忙しい中、楽しいお話をありがとうございました。これからもさまざまな大会でのご活躍を楽しみにしております!
リップエース
RIP ACE 基本データ
【創立】
2002年4月
【理念】
サッカーとは緑のキャンパスに、選手全員が様々な色を使って絵を描く芸術だと考えます。
【教育指針】
自立型人間の育成 → 心を鍛える
心を綺麗にする
・態度教育(挨拶・返事・整理整頓・お手伝い)
心を使う
・表現教育(Atleta・目標設定シート)
心を強くする
・継続教育(Atleta・やりきりCHECK)
【指導指針】
イマジネーション豊か+強か+素早い動作=グローバルな選手育成
・戦術的ピリオダイゼーション理論
・動作改善
【チーム実績】
<2018年度>
・高円宮杯U-15サッカーリーグ 関西サンライズリーグ 11位
・日本クラブユース選手権 関西大会 ベスト16
・高円宮杯全日本ユース(U-15)サッカー選手権 関西大会 ベスト16
・関西ヤマトタケルリーグ 第6位
<2017年度>
・高円宮杯U-15サッカーリーグ 関西サンライズリーグ 3位
・日本クラブユース選手権 関西大会 ベスト8
・高円宮杯全日本ユース(U-15)サッカー選手権 関西大会 第3位
・高円宮杯全日本ユース(U-15)サッカー選手権 全国大会 ベスト32
・関西ヤマトタケルリーグ 第7位
〈Jアカデミー〉
ガンバ大阪ユース、セレッソ大阪U-18、ヴィッセル神戸U-18、サンフレッチェ広島F.Cユース、京都サンガF.C.U-18、ガイナーレ鳥取U-18
〈府外高校〉
流通経済大学付属柏高校、青森山田高校、昌平高校、京都橘高校、立正大淞南高校、鹿児島城西高校、神戸弘陵学園、帝京第三高校、浜松開誠館高校、初芝橋本高校、明徳義塾高校、香川西高校、鵬翔高校
〈府内高校〉
阪南大高校、大阪桐蔭高校、近畿大学付属高校、興国高校、履正社高校、桃山学院高校、金光大阪高校、関西大学北陽高校、大阪学院高校、大阪産業大学付属高校、初芝立命館高校、清風高校、摂津高校、賢明学院高校、清明学院高校、大体大浪商高校、東大阪大柏原高校
【OB Jリーガー】
・嫁阪 翔太
RIP ACE KIDS →RIP ACE Jr →RIP ACE Jy→ガンバ大阪ユース→ガンバ大阪トップ昇格→グルージャ盛岡
・米澤 令衣
城山美木多FC→RIP ACE Jy→ヴィッセル神戸ユース→セレッソ大阪→ブラウブリッツ秋田→レノファ山口FC→鹿児島ユナイテッドFC
・藪内 健人
宮山台FC→RIP ACE Jr→RIP ACE Jy→ガンバ大阪ユース→大阪産業大学→FC岐阜
・土肥 航大
RIP ACE KIDS→RIP ACE Jr→RIP ACE Jy→サンフレッチェ広島ユース→サンフレッチェ広島トップ昇格
・藤尾 翔太
RIP ACE Jr→RIP ACE Jy→セレッソ大阪U-18→セレッソ大阪トップ昇格
・樺山 諒乃介
SSクリエイト→RIP ACE Jy→興國高校(現3年)→横浜F・マリノス内定
・林 尚輝
RIP ACE Jr→RIP ACE Jy→立正大湘南高校→大阪体育大学→鹿島アントラーズ内定
参考サイト:リップエースFacebook
最後に
今まで、これほど楽しくあっという間に過ぎたインタビューはありませんでした。電話を通して伺った今村監督のお話はとても興味深いものであり、面白く魅力的な内容でした。近ければ、リップエースに我が息子を入れたいと思ったほどです。(笑)
始まりは険しく大変な道だったそうですが、今村監督が子どもたちを思う気持ちとともに、創立当初からブレずに子どもたちの心を育てたいと指導されてきたことが、チームを強くし、さらに魅力的なチームに成長したのだと強く伝わってきました。
金髪でロン毛だった今村監督と守山監督、そして迷彩柄のユニフォームで走り回るこれからのリップエースからますます目が離せません。
関連記事
【インタビュー・取材記事 一覧!】ひとつでも多く、熱いメッセージを届けたい!インタビュー記事・取材記事は全てこちらにまとめました!
顔をつき合わせるコミュニケーションの大切さ ~全家庭を訪問した理由とは~ Ala Football Academy (アーラフットボールアカデミー) 宮田監督インタビュー
愛知の強豪 FC.FERVOR愛知(フェルボール)に聞く【ルーティン・積み重ねの大切さ】東海サッカーの発展に向けて~大橋啓介コーチ インタビュー~
コメント欄