プロフィジカルコーチ鎌田豊さんによる、「サッカーを始めたばかりの子を持つ親が知っておきたい「7つのこと」とは?」をお届けします。
「好きこそものの上手なれ」と言いますが、サッカーが上手になるにはサッカーが好きであること、幼少期に関しては「運動が好きであること」はとても大切な要素ですね。
それには、保護者の接し方、声の掛け方にも注意が必要です。
今回は、サッカーを始めたばかりの子の保護者の皆さんに、知っておいて欲しい7つのポイントについて、プロフィジカルコーチ鎌田さんに教えてもらいます。(編集部)
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サッカーを始めたばかりの子を持つ親が知っておきたい
「7つのこと」とは?
我が子がサッカーに興味を持ち始めた!
もっともっとサッカーを好きになって、上手になって欲しい。
そんな風に思うのが保護者の気持ちですね。
しかし、我が子のサッカーの練習を見ていると・・・
『うちの子まわりの子と全然違う。。。』
『足が遅いかも!全然ボールに触れてない?』
『みんな簡単にできるのに、なんであんなこともできないの?』
などと不安に思って、つい苛立ってしまうことがあるのではないでしょうか。
こんな時、気をつけて欲しいのは「親の態度」です。
親の「見る目」が「見張る目」になっていませんか?
ついつい「見張る目」になってしまっていたという方は、今日から「見守る目」に変えていきましょう。
サッカーを始めたばかりの子、運動を始めたばかりの子についてどんな風に考えたら良いのか、よくある事例と共にポイントを7つご紹介します。
①初めから何でもできる子なんていない!
子どもたちには、すべてが初体験です。
サッカーも初めてだからこそ、理解するのに時間がかかったり、動き出すのに脳が指令を出せなかったりします。
また、子どもの特性として、『飽きやすく、集中力がない』ということも言えます。
たくさんの『初めて』を体験させ見守りましょう。
その中で、少しずつ興味がわき、『サッカーをしてみたい』から『サッカーが楽しい』へと変化していくのです。
②周りの子とは比べない。昨日の我が子と比べてみるとはどういうこと?
『自己肯定感』という言葉を聞いたことはあるでしょうか。
自己肯定感とは自己価値に関する感覚であり、自分が自分についてどう考え、どう感じているかによって決まる感覚です。
そのままの自分を認め受け入れ、自分を尊重し、自己価値を感じて自らの全存在を肯定する「自己肯定感」の感覚は、何ができるか、何を持っているか、人と比べて優れているかどうかで自分を評価するのではなく、そのままの自分を認める感覚であり、「自分は大切な存在だ」「自分はかけがえのない存在」だと思える心の状態が土台となります。
スポーツには自己肯定感がとても重要です。
勝負に勝ったり負けたりしますし、練習をしても上手くいかないこともありますが、それを乗り越えていかなければスポーツを続けることは難しいからです。
内閣府の行った「我が国と諸外国の若者の意識に関する調査 (平成30年度)※対象13才〜29才」によると、日本の若者は諸外国の結果に比べ自尊感情に相当する「私は、自分自身に満足している」という項目が著しく低かったのだそうです。(参照:内閣府)
いつも周りの子と比較されているとどうでしょう?
大人でもそうですが、いつも周囲の人と比較されていると自分に自信がもてず自信を失ってしまいませんか?
私は『自己肯定感』を支えるのは『根拠のない自信』ではないかと思っています。
自分のことを認めてくれる人が周りにいると、心が満たされ何事にも積極的にチャレンジできる子どもに育っていきます。
我が子の良いところを見つけるためには、日頃からよく子どもを観察していることが必要ですね。
サッカーで少しでもできることが増えたときには、見逃さずに「できたね!」と声をかけることで自己肯定感を高めていきましょう。
他の人と比べるのではなく、昨日の自分よりも少しできることが増えればそれが成長です。
③運動が得意な子の特徴は「感情表現がとても豊か」
運動には『パッション(情熱)』が必要です。
子どもたちを指導してきて感じるのは、運動が得意な子の特徴として、感情表現がとても豊かだということ。
子どもが「頑張るぞ!」と思って自主的に取り組み、達成したときには親も一緒になって喜びましょう。
親の笑顔を見るのが子どもは大好きですし、なんといっても親の笑顔は子どものやる気を高めます。
『できたら喜ぶ』『できなかったら悔しみ、悲しむ』という感情を繰り返すことで、 もっとサッカーが上手になりたい!という気持ちが湧いてきます。
④上手くできない!そんな時はどうすればいいの?
サッカーの練習で、できないことが増えてしまうと、子どもはサッカー自体が楽しくなくなってしまいます。
かといって、簡単にできるとすぐに飽きてしまう。 子どもは厄介な生き物ですね(笑)。
「ちょっとがんばればできること」を増やして行くことをお勧めします。
「できた!」という積み重ねが、次第に大きなことを成し遂げるための力になっていくからです。
サッカーだけではなく、運動全般に言えることです。
突然、三段跳びできる子どもはいません。
まずは両足ジャンプを覚え、身体の動かし方を身に付けてから、片足ジャンプへと発展していきます。
遊びでもそうです。
ケンケンパーも最初はできない子がいます。
しかし、グーパーができるようになれば、少しずつケンケンパーができるようになっていきます。
段階を経て成長していく姿を楽しみつつ見守りながら、励ましていきましょう。
⑤友達と色々な用具や道具を共有すると良いのはなぜ?
「自己主張」と「自己抑制」の力は幼児期に大きく伸びると言われています。
サッカーの練習に使う道具を共有したり、一緒に片付けたりすることは、 自分を抑えたり自分を出したり、他者を思いやる気持ちを育むことに繋がります。
サッカーのスクールやチームで使う用具はすべて皆のものです。
壊れてしまったら使えなくなってしまいますね。
皆で用具や道具を大事に扱うことで、友達も大事にしていきます。
友達を思いやる習慣を身につける良い機会にもなります。
⑥コーチの話をしっかり聞いていない!大丈夫なの?
子どもたちと私たち指導者は時間をかけて、信頼関係を築いていきます。
コーチと子どもの信頼関係を築くのは、家を建てることに似ています。
土台がしっかりしていれば頑丈な家が建ちますが、そのためには時間がかかります。
土台がしっかりした家を建てれば、少々のことでは崩れませんが、ぐらぐらの土台を作ればすぐに家は壊れてしまうでしょう。
我が子が指導者の言う内容を理解できなくても、ゆっくりと時間をかければ大丈夫です。
信頼関係は時間とともに深まっていきます。
中にはすぐにコーチの言うことをすぐに理解し、行動できる子もいますが、 ここでも、先に述べた通り、他者とは比較せずに我が子を時間をかけて見守りましょう。
特に大切なのは、親子の信頼関係です。
温かく見守られて育っている子ども達は自主性があり、何事にも積極的に取り組んでいける子が多いです。
⑦コーチとの約束を守ることは、社会へはばたく第一歩
幼児期に身につけなければならない力は、ルールを守り我慢する力です。
小学校に入学すると、学校で守るべき決まりが多くなります。
小学校でのルールを守らせるのは、大人の義務です。
サッカーをする上でも、ルールを守り我慢する力は必要不可欠ですよね。
サッカーを始めたばかりでも、ダメなことはダメとはっきり教えてあげましょう。
例えば、指導者が子ども達と「順番を守る約束」をしたとします。
もしその約束を守らない子がいたら、コーチはその都度指導します。
その際は、保護者の方も指導者と同じ気持ち、同じ目線で、お子様に指導してもらいたいと思います。
子ども達は友達同士で遊びながらお互いにルールを決め、それを守りながら遊びますが、 友達間のトラブルの大半は、「ルール違反」がきっかけです。
どんなスポーツでもルールがあります。
ルールを守ることで、スポーツをさらに楽しむことができます。
子どもたちはスポーツを通じて、社会へはばたくための力を少しずつ確実に身につけていくのです。
子どもたちの成長をサポートし、最高のサポーターになりましょう!
今回は以上です。
それでは、次回もお楽しみに!
寄稿者:U-12専属プロフィジカルコーチ 鎌田 豊
(国分寺キッズアカデミー代表/ワセダJFC代表兼監督)
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