(こちらの記事は過去の記事に2018.08.03最新情報を追記して再掲しています)
2018熱中症関連 最新情報
各地でも熱中症予防の取り組み広がる
夏のサッカー少年の大敵、熱中症。特に今年(2018年)は体温を超すような異常な暑さが各地で観測されており、熱中症が重症化し、救急搬送されるケースが連日報道されていますね。
今年は例年以上に注意が必要です。
総務省消防庁が発表したデータによると、2018年7月16日~22日の熱中症による搬送者数は2万2647人、死者65人でいずれも1週間分の集計を始めた2008年以降で最多になりました。(データ参照:総務省消防庁)
こうした状況に対し、対策を打ち出している地域もあります。
例えば東京少年サッカー連盟は、猛暑による熱中症対策として、2018年7月28日~8月12日までの期間は、東京都少年サッカー連盟が主催、主幹する活動、大会については禁止という方針を打ち出しました。
「猛暑のため、選手の安全を第一優先として、2018年7月28日~8月12日までの期間は、東京都少年サッカー連盟が主催、主幹する活動、大会については禁止」
1)U-12リーグ
2)3年生交流会予選
3)その他上記期間中、活動が中止となります。
U-12リーグが期間中に終了できない場合の終了日の延期や全少の予選出場権利チーム予選開催日につきましては、今後別途発表とのことです。※こちらは2018年7月27日16時現在の情報です。
情報は変わる可能性もありますので、チーム関係者様などからの最新情報にご注意ください。(出典元:東京少年サッカー応援団)
また、JFAも「熱中症対策ガイドライン」を再度確認するようにとHPで呼び掛けています。
→JFAの熱中症対策ガイドラインはこちら
ガイドラインの中では冒頭、このように記述されています。
大会/試合を開催しようとする期間の各会場(都市)における、過去5年間の時間毎のWBGT(※編集部注:暑さ指数)の平均値を算出し、
その数値によって大会/試合スケジュールを設定する。必要に応じて、試合時間を調整して早朝や夜間に試
合を行う、ピッチ数を増やす、大会期間を長くするなどの対策を講じる。
※過去のWBGT値は環境省『熱中症予防情報サイト(http://www.wbgt.env.go.jp/record_data.php)』から
ダウンロードできる。 (中略)<事前準備>
■WBGT=31℃以上となる時刻に、試合を始めない。(キックオフ時刻を設定しない。)
■WBGT=31℃以上となる時刻が試合時間に含まれる場合は、事前に『JFA 熱中症対策※1<A>+<B>』を講じた
上で、試合日の前日と翌日に試合を行わないスケジュールを組む。
■WBGT=28℃以上となる時刻が試合時間に含まれる場合は、事前に『JFA 熱中症対策※1<A>』を講じる。<当日>
■WBGT=31℃以上の場合は、試合を中止または延期する。 やむを得ず行う場合は『JFA 熱中症対策※1<a+b>』を講じた上で、[Cooling Break※2 ]を行う。 ※中止や延期の判断は、試合前またはハーフタイム時に行うこととし、前後半のプレー中に試合を中止・ 延期はしない。試合前は大会の主催者または主管者、もしくはその代行者が必要に応じて主審と協議 の上で判断し、ハーフタイム時は主審が大会の主催者または主管者、もしくはその代行者と協議の上 で判断する。 ※大会主催者は、中止や延期となった場合の対策や当該試合の取扱いについて予め規定しておくこと。 ■WBGT=28℃以上の場合は、『JFA 熱中症対策※1』を講じた上で、以下の対応を行う。1・2 種…[Cooling Break※2 ] または[飲水タイム]を行う。
3・4 種…[Cooling Break※2 ]を行う。 また、『JFA 熱中症対策※1<a+b>』を講じた場合は、全ての種別において[Cooling Break※2 ] または[飲水タイ ム]を推奨することとする。■WBGT=25℃以上の場合は、3・4 種の試合は『JFA 熱中症対策※1</a+b>』を講じた上で、以下の対応を行う。
3 種…[飲水タイム]を行う。
4 種…[Cooling Break※2 ] または[飲水タイム]を行う。(JFA 熱中症対策ガイドラインより抜粋)
こちらのガイドラインに則り、公式戦では給水タイムやクーリングブレイクを導入することが徹底されていることと思います。
更に、キックオフ時間を日中を避けて夕方に設定したり、大会や試合そのものを延期、中止するケースも増えています。
多くのチームの日程を調整し、グラウンドを確保していることや、過密日程などで大会の延期や中止を決断することは、簡単なことではないと思いますが、選手の健康・生命を脅かすことは絶対に避けるべきです。
真夏の人工芝のピッチに潜む危険
近年、各地に人工芝のピッチが急速に普及しています。
人工芝には良い面もたくさんあるのですが、真夏の炎天下では思いがけない「危険」につながることもあるようです。
弊社ライターの息子さんは真夏の人工芝ピッチで試合をして、足の裏が火傷し、皮がズルズルに剥けた経験があるそうです。
なぜこんなことになってしまうかというと、人工芝を敷設する際に、グラウンド全体を開粒アスファルト等で覆ってから、その上に人工芝を植え付けるという作業が行われる場合が多いのですが、このアスファルトは土にくらべ熱を吸収しないため、「反射熱」が発生してしまいます。
開粒アスファルトの水の吸収性を利用して、気化熱冷却が行われるような仕組みもありますが、どうしても天然芝や土にくらべると高温になりやすいのです。
さらには、人工芝のクッション性を高めるために撒かれているゴムチップも、熱を吸収しやすいため、高温化に拍車が掛かります。
水を撒いたらどうだろうと思いますが、水を撒くタイミングによっては、ピッチ上の湿度が上がり、さらに悪い状況を生む可能性もあるので、簡単には解決できない問題なのです。
前述のJFAが策定している「熱中症対策ガイドライン」では、人工芝ピッチについて、以下の記述があります。
▽屋根の無い人工芝ピッチで試合を行う場合は、天然芝等に比べて WBGT 値の上昇が見込まれるため、上記の
値から-3℃した値を基準とする。
-WBGT=28℃以上となる時刻は、屋根の無い人工芝ピッチは原則として使用しないとする『JFA熱中症対
策※1<A>+<B>』を講じなければならないため、使用不可とする。
-WBGT=25℃以上となる時刻が試合時間に含まれる場合は事前に『JFA 熱中症対策※1<A>』を講じる。
これらの規制・対策以外にも表面温度の上昇による足底部の低温やけどや擦過傷の危険性を考慮すること。(JFA 熱中症対策ガイドラインより抜粋)
サッカー協会も、真夏の人工芝ピッチにおける対策に言及し、「WBGT=28℃以上となる時刻は、屋根の無い人工芝ピッチは原則として使用しないとする『JFA熱中症対策※1<A>+<B>』を講じなければならないため、使用不可」と明記しています。
このように、真夏のサッカー少年・青年を取り巻く状況は過酷なものになっているという事を、保護者や指導者の皆さんもしっかりと認識して対策をとっていく必要がありますね。
子どもは自分の体調を把握する能力が十分に育っていないため、決定的に違和感があらわれるまで熱中症の症状に気が付かないこともあります。
子どもが、「なんとなくおかしい…」と思ったら、すぐさま重症化させないための対処をしなければなりません。
また、もう一つ夏のサッカー少年の大敵についても触れておきます。それは「食中毒」。お弁当が暑さにやられて傷んだり、ドリンクから雑菌が入ってきたり…夏のサッカー少年の周りには危険がいっぱいです。
それぞれの対策をまとめましたので、参考にしていただければ幸いです。
熱中症を重症化させないための対策4つ
「暑い環境で生じる健康障害」が熱中症です。ところが、熱中症には4つのタイプがあります。タイプに応じたケアが行われないと、速やかに回復してこない可能性があります。
塩分が不足して熱中症の症状を起こしている子どもに、水ばかり飲ませても効果がありません。熱でのぼせている子どもに塩を与えることは体温を更に上げてしまう可能性もあります。
子どもをよく観察して、症状に合った対処を行いましょう。
その1:熱失神の場合は「冷やして補水、足を高く!」
症状
顔面は蒼白になります。一時的に気を失うこともあり、めまいを訴えることもあります。朝礼の途中にいきなり倒れるような場合は、このタイプが多いです。
脈は速く、弱くなります。暑いのに顔色が青白くなって気分の悪さを訴えた場合は、熱失神の初期症状です。
原因は、暑さや運動によって血管が広がって血圧が低下し、脳血流が減少することにあります。メカニズムとしては貧血に似ています。
放っておくと
一時的な虚血状態に陥るため、気を失って倒れます。倒れる際に頭などを打つ可能性も高く、危険です。
対処
涼しい場所に運び、風を当てて寝かせます。脳血流の減少を戻すため、足は少し高く保ちましょう。暑さで水分が失われ、血液の水分量が減ってドロドロ血の状態になっていることも考えられます。水分を補給しましょう。
その2:熱痙攣の場合は「塩水を飲ませてストレッチ」
症状
熱痙攣(ねつけいれん)になると筋肉痛、足のツリ、けいれんを訴えます。運動時に多い熱中症です。汗をかくことによって体からナトリウムが失われ、血液中のナトリウム濃度が低下した時に起きる熱中症です。
この熱中症は、血液中のナトリウム濃度が問題なので、水分だけを補給して塩分不足になった場合にも起きます。発熱はありません。激しい痛みに襲われることがあります。
放っておくと
筋肉の強い収縮が熱痙攣(ねつけいれん)の正体です。アフターケアが万全でないと、筋肉が固くなり、それによるケガなどが起きる可能性があります。
対処
塩分を含んだ飲み物や食べ物を摂取させます。スポーツドリンクや、1~2リットルの水に小さじ2程度の塩を溶かしたものを飲ませれば治ります。
塩分を摂れば落ち着くので、そのあと収縮した筋肉をストレッチさせましょう。治ったからといって、ストレッチ抜きでピッチに戻すことは、更なる筋肉の呼称の原因となります。
その3:熱疲労の場合は「とにかく冷やして水分補給」
症状
全身のだるさ、頭痛、吐き気などに襲われます。原因は脱水症状です。スポーツ時に起こりやすい熱中症ですが、観戦しているだけでも起きることがあり、一番一般的な熱中症といえるでしょう。保護者の皆様が試合観戦した夕方、「家に帰ったらなんだか頭が痛くて…」というのが、熱疲労の状態です。
発汗により塩分と水分が大幅に失われて血液量が減少し、ときにはショック状態になることもあります。熱痙攣よりも重症だと思ってください。
集中力、判断力が低下し、体を動かすのが億劫になります。ジュニア選手の動きが急に鈍くなった時は熱疲労を疑い、対処しましょう。
放っておくと
熱射病になります。
対処
とにかく日陰に運び、全身を冷やします。
濡らしたタオルを皮膚に当て(アイスパックが常備されているチームはアイスパックをわきの下や首の後ろに入れます)、体を冷やします。口からは水分を補給してください。
濡らしたタオルは、できるだけ皮膚の面積を覆うようにしてください。
その4:熱射病の場合は「直ちに全身冷却、救急車!」
症状
発熱、意識障害(呼びかけても反応が鈍かったり、痛みに対して鈍感になったりする)、言動が不自然になり、ふらつきが出ます。体温は40℃を超えます。
熱疲労の状態が進み、中枢神経に異常をきたしている状態です。すぐさま対処を行いましょう。
放っておくと
死に至ります。
熱射病は、中枢神経に後遺症が残ることもあります。生存者の20%(5人に1人)に、後遺症として運動障害や協調運動不全、人格変化、腎臓疾患が残ることがあります。
対処
氷水で体を冷やすのが一番理想的です。涼しい場所に運び、学校のグラウンドで練習を行っている場合にはプールを拝借しましょう。全身濡らしたうえで扇風機の風に当てるのも有効です。とにかく急速に体温を下げなければなりません。
体温が39℃を下回ったら、冷やすのをやめます。39℃未満の場合は、極端に冷やす必要はありません。
口から水分は摂れなくなっている場合がほとんどです。水分補給は点滴を待つことにして、とにかく冷やしてください。
即救急車を呼びましょう。集中治療室で治療を受ける必要がある症状です。
熱中症か?と思ったら、「冷やす」+「水分」+「塩分」が基本です。運動中に大量の真水を飲むと、血液中のナトリウム濃度が一気に下がり、危険な状態になることがあります。
それでは、何を飲ませたらいいのでしょうか?
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