SIEMPRE FUTBOL CLUB(シエンプレFC)は鹿児島県薩摩川内市を拠点とするサッカークラブ。
スクールとチーム、2つのコースがあり、基礎技術の習得・向上からチーム戦術まで、「サッカーを上手になりたい」子どもたちの願いを叶えるべく、経験豊富なコーチが指導に当たっています。
2024年にU-15カテゴリーが発足。
ジュニアユースチームではどのような指導が行われているのでしょうか?
チームを率いる川村 純貴代表にお話を伺いました。
お話を聞いた人
SIEMPRE FUTBOL CLUB(シエンプレFC)
代表 / 監督 川村 純貴氏
Jリーグ・アカデミーなどでの指導経験は10年以上。
モットーは「共に育ち、夢中になる!」
教えこむことよりも、問いかけや共に考えること、寄り添うことを大事にし、子どもたちが自分で答えを見つけていく力をサポートしています。
ライセンス
・ JFA公認B級ライセンス
・ JFA公認フットサルC級ライセンス
職歴
・ 桐蔭学園高校
・ 明治大学政治経済学部
・ FC 東京普及部コーチ
・ 湘南ベルマーレU15 WESTコーチ
・ 湘南ベルマーレU12アカデミースカウト 他
サッカーと仲間を大切にする心を育む
ーーーシエンプレFCはどんなチームですか?
シエンプレFC 代表 / 監督 川村 純貴氏(以下、川村)
チーム名のシエンプレはスペイン語で『いつも』『ずっと』という意味で、英語の『オルウェイズ』にあたります。
私自身、選手としては目立った成績は残せませんでしたが、サッカーを通じてかけがえのない仲間に出会えたことが一番の財産です。
ここに来た選手たちにもずっと仲間やサッカーを大切にしてほしい、ずっとサッカーを好きでいてほしいという願いを込めて名付けました。
チームの活動開始は2021年4月です。小学生年代からスタートし、2024年4月から中学生向けのジュニアユースも動き始めました。
小学生年代は4年目、中学生年代は半年ほどの活動期間です。
私自身は神奈川県の出身で、長く関東で暮らしていました。
サッカーチームを立ち上げたいという思いがずっとありましたが、妻の地元である薩摩川内市のグラウンドが使えることになり、鹿児島に移住してチームを設立しました。
ーーー指導方針や選手たちに求める姿勢について教えてください。
川村
私たちが目指しているのは、サッカーを通して選手たちが自立する力を育むことです。
ただ知識を詰め込むティーチングではなく、コーチングを通じて選手たち自身の考えを引き出すことを大切にしています。
選手が自ら考え、判断し、行動する力が成長の鍵だからです。
私たち指導者は、必要な部分だけを伝え、あとは選手たちが自らの答えを導けるような質問を投げかけています。
ピッチの上でも日常生活でも、自分で考え行動できることが大切です。
例えば、練習や試合の準備は自分で行うように促し、「サッカーをしたいのは自分だから、準備も自分で」という意識づけをしています。
低学年の練習時には、高学年が自主的にウォーミングアップを始めるなど、年上の選手たちが手本となり、自分で考えて動ける場面を意識的に作り出しています。
例えば、マジックテープの靴を履く小学生が今も結構いるんです。
私の育った環境では早くから靴紐だったので、自分で紐を結ぶことが自立の第一歩だと感じたことを思い出しました。こうした小さなことからも自分でできるように促していきます。
小さなことでも自分で決め、自分で準備し、責任を持つ意識を育むことが、社会に出てからも役立つとの思いがあるからです。
サッカーでは、選手たちが次のステージで通用するように「技術」「判断」「連続性」を鍛えることを意識して指導にあたっています。
判断力を高めるには確かな技術が必要ですし、今のサッカーでは連続して動き続ける力も求められます。
選手たちにはボールを大切にしながら、全員で前進し、全員が関わり、成長して欲しい。
何よりも「成長し続ける意識」を持ってほしいですね。
技術を磨き、判断力を高め、仲間と連携して自分を活かせるようになれば、サッカーだけでなく、人としても成長できると思います。
こうした学びをサッカーを通じて経験し、子供たち自身にもその喜びを感じてもらいたいと願っています。
全員が輝くフィールドを目指して
ーーー監督が大切にされているサッカースタイルはどんなものでしょうか?
川村
「ビルドアップを重視し、意図的に前進していくこと」を大切にしています。
ロングボールを蹴り込んで走るなど、力やスピードだけに頼るスタイルではなく、個人の技術を向上させたいという狙いがあります。
フィジカルの強い選手が一人でチームを支えるような役割を求められることもあると思いますが、そうなると他の選手たちがボールに触る機会が減り、中盤の選手が育ちにくいという側面もあります。
私は、どのポジションの選手も均等に成長させたいという思いを持っています。
『一人のスーパースターを育てる』よりも、『全員がボールに触れ、全員が考え、全員がうまくなること』を目指しています。
地域の町クラブでは、スーパースターが出ることでクラブの名前が広がることもありますが、私の指導方針としては、みんなをバランスよく育成しながら強くすることを目指していますね。
ーーーシエンプレFCには専門コーチはいますか?
川村
ゴールキーパーの専任コーチがいます。
薩摩川内市出身の上薗栄太さんです。
現在もフットサル鹿児島県1部リーグで現役プレイヤーとして活躍しています。
週3〜4回ほどシエンプレの練習に参加してくれていて、子供たちに直接指導をしてくれています。
ーーー専門コーチがいることで、どんな効果が感じられますか?
川村
キーパーにはキーパーならではの技術が必要ですから、専門コーチがいることで細かいスキルを学ぶ機会が得られます。
また、シエンプレはまだ新しいチームで、もともとゴールキーパー経験のない子が多く、初心者からスタートしている子も少なくありません。
最初はシュートを止められず失点が多くても、上薗コーチの定期的な指導を受け、1年で大きく成長し、失点が劇的に減りました。
初心者でもしっかりと基本から学び、成長できる環境を整えていますので、ゴールキーパーを始めたい子にはぴったりだと思います。
サッカーを学び、語り合う場所
〜高江未来学校内のクラブハウス〜
ーーークラブハウスは「高江未来学校(※)」にあると伺いました。どのような施設になっているのですか?
川村
旧・高江中学校の跡地に設立された高江未来学校内に、教室を改装して専用のクラブハウスを作りました。
目の前には広いグラウンドがあり、そこを中心に練習をしています。
クラブカラーである赤と黒を基調にデザインされています。
選手同士がサッカーについて語り合える場所であると同時に、保護者の方々もくつろぎながら観戦できる環境です。
クラブハウスには、プレーの振り返りや試合観戦に使える壁掛けテレビや、自由に読めるサッカー本の棚も設置しています。
本棚にはサッカー関連の本が100冊以上あります。
子供たちでも読めるサッカー漫画や、ふりがな付きの簡単な本もあれば、大人向けの戦術本や選手の自伝などもあります。
基本的には僕が自分で集めたものを置いているのですが、幅広い年齢層が興味を持てるような内容になっています。
子供たちは兄弟の練習を待ちながらといった時に、クラブハウスで本を読むことも多いですね。
サッカーに関する知識を深めるだけでなく、リラックスしたり友達と語り合う場としても活用されています。
ーーークラブハウスは、他にはどんな風に活用されているのですか?
川村
特にU-15では、週に1回程度は映像を使ったミーティングを行っています。
壁掛けテレビを使って、自分たちのプレーを振り返ることも多いですね。
チームにとって重要な課題があれば、練習時間を割いてでも映像を見ながら伝えたいと思っています。
また、雨の日にはグラウンドが使えないこともあるので、室内で座学としてサッカーの理解を深める時間にしたり、みんなで頭を揃える場としても映像を活用しています。
※高江未来学校
鹿児島県薩摩川内市にある複合施設。
2018年3月に閉校となった薩摩川内市立高江中学校を、宿泊施設、テナント施設、イベント会場など、地域の人々の生活に寄り添う施設へと改装し、運営されている。
求めるのは高みを目指す選手
ーーー1期生の皆さんに、これからの活動に向けて一言メッセージをお願いします。
川村
2024年の4月にスタートしたU-15チームの1期生は19名。
初年度でこれだけ集まってくれたのはありがたいですね。
自分たちで最初に掲げた目標があります。
それがチェストリーグで3部に昇格すること、そしてU-13大会で優勝を目指すことです。
みんなで決めた目標ですから、それに向かって共に頑張っていこうと言いたいです。
ーーー最後に、今後シエンプレFCに加入したい選手へのメッセージをお願いします。
川村
サッカーが好きで、高みを目指したい、できるだけ高いレベルで活躍したいという選手にはぜひ来てほしいです。
今サッカーがうまいかどうかは関係ありません。
それよりも、中学3年間をサッカーに全力で打ち込む覚悟や向上心、しっかりした心構えがある選手にぜひ来てもらいたいと思っています。
最後に
関東から九州へと活動の場を移し、シエンプレFCを立ち上げた川村監督。
指導者としての経験と人々との縁が、新たな環境での活躍の場を拓きました。
個々が力を付け、全員で力を合わせて全員が成長できるサッカーを目指し、指導に当たっています。
サッカー技術だけでなく、選手たちが自ら考え、判断する力や仲間を大切にする姿勢を育む。
情熱あふれる指導のもとで、共に学び合う仲間と共に実りある3年間を過ごせるのではないでしょうか?
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