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サッカーを通して自立を育む「笑顔の絶えない人になってほしい」FC VIFARE U-15 冨迫 斉司監督インタビュー 

地域に根ざしたFC VIFAREは、サッカーを楽しむ子どもたちが集まるクラブです。
冨迫監督の指導のもと、選手たちは自分の進路を考えながら成長を目指しています。楽しさと学びが融合するこの環境で、子どもたちがどのように自立していくのか、その取り組みを詳しく紹介します。

お話を聞いた人

FC VIFARE U-15 冨迫 斉司監督

東市来SSS〜東市来中サッカー部〜川内商工サッカー部
指導者ライセンスC級

選手の進路サポートと成長支援の取り組み

ーーーFC VIFAREは子どもたちの進路相談から、栄養やフィジカルのサポートまで、幅広い活動をされているとお聞きしました。サポートについて詳しく教えてください。

FC VIFARE U-15 冨迫 斉司監督(以下、冨迫)
サッカーを純粋に楽しみたいという子どもたちが集まるチームです。
私たちのチームはセレクションは行いません。
他チームのセレクションでうまくいかなかった子や、小学生時代はあまり目立たなかった子でも、3年間サッカーを楽しんでもらい、しっかり成長させて、高校でもサッカーを続けられるように育てたいと考えています。

進路については、まず個人面談を行い、選手の希望する学校を聞きます。
選手には2〜3校、希望する者には5校程の練習会に参加してもらい、こちらから学校と直接連絡を取って条件を整えます。

選手達の学業成績も把握し、5月のクラブ選手権予選前に希望を確認して面談を行います。
クラブ活動終了後に高校の練習会に参加してもらい、選手の希望を尊重しながら、適切な進路を一緒に探す形です。

そのために、体験会後は高校の先生たちとも意見を交換します。
高校側から声がかかった選手には、まずその学校を訪れてもらいます。
選手の特徴が最大限発揮できる環境が整っているかどうかを確認しながら進めます。

希望にできるだけ応えたいと思っているので、私たちは紹介はしますが、最終的な判断は選手自身に委ねます。彼らのプレースタイルや家庭の事情も考慮していますね。

県外に行きたいという選手は今のところいませんが、今後は出てくるかもしれませんので、希望に添えるようしっかり準備して対応していきたいと思っています。

自立を促す栄養サポートとフィジカルケア


ーーー栄養サポートやフィジカル面のケアにも力を入れているそうですが、どのような取り組みがあるのでしょうか?

冨迫
今年から「完全栄養ココアMAJIDE」という補助食品を導入しました。
トレーニング後、すぐに飲んでもらうようにしています。負荷が高いトレーニングを行う毎週火曜は特に意識してもらっていますね。

送迎に時間がかかる子もいるので、バスの中で飲んでもらうよう声掛けします。
栄養サポートを始めてから、選手たちの意識も徐々に変わってきました。
目標を持っている子は特に意識が高く、栄養管理にも前向きに取り組んでいるように思いますね。

ーーーフィジカルサポートではどんな活動を行っていますか?

冨迫
GPSウェアラブルセンサーknowsを使って選手の走行時のタイムや距離、心拍数を測定しています。
データとしてしっかり出るので、子どもたちは自分の記録を見て、もっと頑張ろうと意識が高くなってきています。また、辛い時にどれだけ走ったかなどが見えると、子どもたちも自分の限界に挑戦しようと思うようです。

安全性が第一なので、心拍数なども平均して管理し、異常があればすぐに対応できるようにしています。
怪我の予防にも繋がりますし、健康管理を意識することは選手にとって非常に重要だと考えます。

今年からは整骨院の先生(いなずみ整骨院)に月1回トレーニングをお願いしています。
ケガをした場合には院長先生に診てもらい、リハビリのメニューや選手の状態を整骨院スタッフとチームスタッフで共有できる仕組みを作って共有しています。
トレーニングだけでなく、ケガや大会期間中も優先して診てもらえることは、選手たちも安心だと感じているようです。

自立を育む「夏合宿」の実践と学び

ーーー夏の合宿の写真を拝見しましたが、すごく楽しそうでした。

冨迫
夏合宿はサッカーを楽しむことが一番の目的ですが、同時に、自主性や自立心を育てることを目指しています。
選手たちが自分の力で物事を進めていく力を身につけてほしいと思っています。
なので「あれしろ、これしろ」とは絶対言いません。

今年の合宿では、初日は旅館に泊まり、朝6時に起きて、9時から練習というスケジュールでしたが、私たちが「何時に起きて、何時にトレーニング開始だよ」と伝えるだけで、あとは子どもたちが自分で時間を管理して動いていました。

特に3年生は、私と一緒に過ごしている期間が長いので、ある程度流れが分かっています。
2年生や1年生は時間がかかることもありますが、それも3年生が面倒を見てくれます。
指導者は基本的に見守るだけです。

食事も合宿中2回は自分たちで作るんですよ。
消毒や食中毒には注意しますが、それ以外は子どもたちに任せています。

それだけに、なかなかすごい光景も見られるんですよね。
今年の1日目のカレーは特にすごかったですよ(笑)
野菜が大きすぎて口に入るかも分からないくらいですし、米を研ぐ時も、米粒を流しに流してしまったり。保護者の方々にはちょっと見せられないですね(笑)

でも、みんなで作ったカレーはやっぱり美味しいんですよ。
料理を普段からしている子がいると、本当に美味しいご飯が出来上がります。
今年の3年生が2年生だった時は、面倒だからって野菜炒めしか作らなかったんですけどね(笑)

学年ごとに色が出て面白いんです。去年の上の学年はハンバーグを作っていましたし、後輩たちはそれを見て学んでいきます。

失敗から学ぶことが大切だなと感じますね。
最終日には、子どもたちが自分たちで時間を管理し、1時間半で朝ご飯を食べて片付けを終えられるようになっていました。

夜のミーティングで、保護者のサポートのありがたみについて話すと、子どもたちは深々と頭を下げながら聞いてくれるんですよ。
その時に、保護者の方に向けての手紙を書いてもらうんですが、文章からも感謝が溢れていて、子どもたちの成長を感じますね。

地域貢献を通じて育む自立心とコミュニケーション能力

ーーー子どもたちの成長に繋がる取り組みが多いですね!

冨迫
地域の中で育ってほしいという思いから、海岸清掃や地域貢献活動を行っています。
私たちが練習している吹上浜という日本三大砂丘が近くにあるので、そこを清掃することもあります。

低学年のサッカー大会も運営しています。子どもたちが審判や運営、結果の記録、試合の段取りなどを一日通して行います。

こうした取り組みは、子どもたちの出身チームの指導者の方々にも、選手を見てもらう機会になっているんです。
自分が指導した子どもたちが成長している姿が見られることで、喜んで頂けているようです。

私が子どもの頃は、地域のお兄ちゃんたちと自然にコミュニティができていて、みんなで遊んでいました。今はそういうコミュニティを作るのが難しいので、私たちがそれをサポートしている感じですね。横の繋がりや縦の繋がりを大切にして、子どもたちが自分の居場所を見つけられる環境を作ることを意識しています。サッカーの指導だけでなく、そういった人間関係の構築も大切にしています。

ーーー監督として、子どもたちが卒業する時にどんな姿になっていてほしいですか?

冨迫
一番は自立していて、笑顔が絶えない子になってほしいですね。今の子どもたちは、表情が乏しいことが多いんですよ。挨拶一つで人に興味を持ってもらえるようになる、そういう部分も意識しています。挨拶は人と人を繋げる大切な入り口ですし、サッカーでもコミュニケーションは重要です。辛い時に仲間を助ける、それがチームの雰囲気を変えるんです。だから、コミュニケーション能力を育てることはすごく大事にしています。

ーーー子どもたちに対しても、大人と同じように接しているんですね。

冨迫
最初の1年生の頃は少し見守ることが多いですが、基本的には一個人として接しています。子どもたちが自分で考えて行動できるように促しています。

1年生は少し子どもらしさも残っていますが、2年生、3年生になると、しっかり自立して動けるようになります。
今、新しい1年生が入ってきて、少し苦労している部分もあります。
楽しむためには周りのことを考えたり、道具を大切にしたりする必要があります。
自分の楽しむ環境を自分で作れるようになってほしいですね。

うちのチームでは、コミュニケーションをとても大事にしています。言い方が少し悪いかもしれませんが、指導者たちは子どもたちと友達のような関係を築いています。もちろん、締めるべきところはしっかり締めますが、普段から何でも言い合える環境を作ることを心がけています。
子どもたちは私のことを「トミさん」と親しみを込めて呼んでくれます。

上下関係をあまり強く作りたくないんです。親しみを持ちながら、他人への配慮や思いやりを持つことを教えていきたいですね。

ーーー高校に進学すると、今までのサポートがなくなり、自立が求められますね。

冨迫
高校では自分で頑張らないといけません。だからこそ、私たちは選手たちがどんな環境でも負けないように、自立した人間になってほしいと強く思っています。

子どもたちには「見る・守る・作る」を意識するように伝えています。
見て学び、時間や規則を守ることで信頼を得て、余裕を持つために準備をしっかりする。
これを徹底しています。

強くなるという「ゴール」も魅力的ですが、積み上げていく「プロセス」を大事にしています。
自分たちで努力して勝つことが、本当の意味で価値ある勝利だと思います。それを子どもたちにも伝えていきたいです。

根をしっかり張り、積み重ねていけば、簡単には倒れない強いチームになります。
自分たちの力で積み上げた勝利を大切にしていきたいですね。

最後に

冨迫監督のチームは、個々の選手が楽しみながら成長できる環境を整えています。
技術向上だけでなく、自立心やコミュニケーション能力も育み、進路サポートも充実。
栄養管理やフィジカルケア、合宿を通して自主性も重視され、子どもたちはサッカーを楽しみながら人間的にも成長します。
地域貢献や大会運営などの経験も得られ、サッカーを通して心身ともに豊かに育つ環境が整っています。
成長を目指す子どもにとって、最適な環境と言えるのではないでしょうか。

寄稿者プロフィール

JUNIOR SOCCER NEWSテクニカルマイスターWriterCrane
滋賀県在住ライターのCraneと申します。
2022年8月にライター歴5年目に突入、サッカー娘の母歴は丸12年になりました。

どんな試合でも、その一戦を迎えるまでにどれほどの努力があったのか。そしてそこに、どれほどの方の支えがあったのか。

頑張っている選手達、それを支える保護者、指導者の皆様が持つ数多のドラマに想像を張り巡らせてはリスペクトが泉のように湧き上がる日々。
涙腺も年々緩くなり、留まることを知りません。

8チームから12チームくらいの規模の大会、16チーム以上の大きな大会ともに情報は常に募集しています。
大会結果画像、弾けるような笑顔のお写真、選手達のご活躍の様子をぜひお寄せ下さい。いつでもお待ちしています!

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