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選手の未来を切り開く、育成型サッカーチーム Fantasista栃木 U-15 山崎 亜輝緒監督インタビュー

今回インタビューさせていただいたのは、子どもたちの成長を第一に考える山崎 亜輝緒監督が率いるサッカーチーム。

初心者から経験者まで幅広く受け入れ、一人ひとりの自主性や考える力を育てることに重点を置いています。中学から始めても遅くはないという信念を持ち、選手たちのポテンシャルを最大限に引き出す指導法とは?監督の情熱と工夫が詰まったインタビュー内容です。ぜひご覧ください!

「自分は価値のある人間」という意識づくりに向けて

ーーー山崎監督は、元々は学習塾を経営されていて、今でも学習塾をやっていらっしゃいますね。サッカークラブを立ち上げた経緯を教えてください。

Fantasista栃木 U-15 山崎 亜輝緒監督(以下、山崎)
そうですね、元々学習塾を経営していて、地元の小学生チームの指導をお手伝いしていました。そこから少し違う形で自分のサッカークラブを立ち上げたんです。元々私もサッカーをやっていたんですが、小学生のチームには中学生向けのチームがなかったんです。彼らの進路を考えた時、中学校でも続けられる場を作りたいと思って、チームを立ち上げたんです。

中学生には高校入試があって、進路には学力も必要ですよね。だから文武両道を実践できるように、学習塾を併設したサッカークラブにしました。必ずしも学力の成績が良い子ばかりではないです。なので、個々に合った進路を見つけるために、学習塾のつながりや高校の入試担当者との関係を活かしています。
一方で、サッカーの入試に関しては、少し違ったプロセスもあるんです。どのルートがその子に合うか、その子が何を求めているのかをしっかり見極めて、進路を決めるようにしています。

ーーー学業とサッカー、両方を支える環境が整っているのですね。地域の特徴についても教えてください。

山崎
こは田舎です。昔は、サッカーをやめるとやんちゃな道に進む子が多かったんです。

私自身もこの地域で育ったので、同じようなことを目にしてきました。サッカーで活躍できないと、やんちゃの道に進んでしまう。た。そういったことを避けるためにも、サッカーを通じて、子どもたちが楽しみながら成長できる環境を作りたいんです。

学習塾だと、合格したら生徒たちはすぐにいなくなってしまいます。それが切ないんです。一生懸命指導しても、受かった途端に関係が終わってしまう。でも、サッカーだと卒業しても高校に進学してサッカーを続けている姿を見たり、また遊びに来てくれたりします。そうした成長を見続けられるのが、自分にとっての楽しみですね。

ーーー運動特待で進学する子も多いと聞きました。そうすると、高校でもサッカーを続ける子が多いのでしょうか?

山崎
そうですね。ただ、サッカーだけでなく、勉強も頑張っている子が多いです。どちらにしても、特待という形で進学することで、その子たちが価値のある存在だと実感できるようなサポートをしています。勉強が苦手な子もいますが、成績だけではなく考え方の部分を重視して指導しています。

今まさに、進路の時期。積極的に高校のチームと練習試合を組み、その中で高校にも選手をよく見てもらいます。選手にも、自分が希望する高校をよく見せます。団体で参加するセレクションもありますが、チーム単体でその高校に行ったほうが見えることもたくさんあります。

選手には本当に自分が行きたい進路に進んでほしいですから。

ーーー中学1年生のうちから高校生とサッカーをする機会があると伺いましたが、それが進学へのモチベーションにもつながるのでしょうか?

山崎
そうなんです。私たちのチームは学年ごとに分けずに、中1、中2生も中3生と一緒に高校生と練習試合をします。高校生とプレーすることで、憧れを持ってもらいたい。『あの高校に行きたい』と思えば、今まで勉強しなかった子も勉強するようになります。僕はその子の成績も把握しているので、模擬テストや進路に関する情報も提供し、適切なサポートを行っています。

チームを卒業してからもチームを応援してくれるOBがいます。先日も、高校生と試合をしたときに、OBが来て一緒にプレーしてくれました。高校に進学してもチームとのつながりを持ち続けてくれるのは、指導者として嬉しいことですね。

短い練習時間を最大限生かす指導

ーーーフットサルの方でも素晴らしい成績ですね。2023年が初の全国大会進出でしたか?

山崎
そうですね。2023年の1月が初めてでした。今年度も全国大会は栃木で開催されるので、優勝すれば全国大会に出場できるんです。私たちもその目標で頑張っています。

普段はサッカーをメインに活動して、フットサルは年2回の大会に参加しています。
フットサル大会で技術や戦術を学んでサッカーに生かしています。練習は週2回、体育館で行っています。
天気に左右されず、安定して練習ができるというメリットがありますね。週末はグラウンドでサッカーの試合をメインに楽しんでいます。

ーーー週2回の練習で栃木県フットサルU-15大会優勝常連チームです。この結果を出すのはすごいですね。

山崎
いやいや、もちろん最初の1年目からこの成績が出たわけではありません。やっぱり年月がかかりました。
この年代は身体能力の差が一番はっきりする年代です。
でも、フットサルの良さは、フィジカルだけでなく、技術や戦術を活かして勝負ができることです。選手が個人技術を磨き、サッカーを学び、自主性を身につけ、急成長を遂げて、逆転現象を起こすことができましたね。

少人数で試合ができる分、選手一人一人がボールに触れる機会が多い。フットサルを経験した子たちは、高校サッカーでも活躍しています。
高校に進学してからも、その子たちは県1部リーグの上位チームでも、主力選手としてやれているんです。
うちのチームは3部リーグですが、選手の個々の力は強い。高校の監督もそれを理解してくれているので、特待の話をいただくこともあります。
その経験が選手たちに自信を与え、次のステップである高校でも活躍できるようになっています。

ーーー少人数だからこそ、細かいサポートも行き届いているのではないでしょうか。

山崎
1年生から3年生まで一緒に練習しているので、先輩の姿を見て学ぶことが多いです。3年生が頑張っているのを見て、下級生たちも自然に成長していきます。進路の話も、選手に現実をしっかりと見せるようにしています。小さなチームだからこそ、個別にアドバイスもできるし、はっきりと指摘できるんです。

時間はかかりますが、選手たちが自分で考えて行動できるようになることが目標です。片付け一つでも、手を貸さずに自分たちでやらせています。サッカーの4級審判資格も全員が取得しています。練習試合などでは、自分たちで審判もやらせています。時間はかかりますが、その分、自主性が身につきます。

進路も選手が自分で決断することが大切なので、アドバイスや相談を重ねた上で、最終的には「お前が決めたんだろう」という形で進めています。
やっぱり話をよく聞いて、それを実践してくれる子っていうのは、すごく成長が早いんですよ。もちろん、最初はできなくても、何度もトライしていくうちにできるようになっていく。その過程を見ていると、本当に感動しますね。

ーーー少人数ならではのサポートも充実しています。

山崎
1,2年生も試合に出します。試合にいって、応援だけして帰ってくるのじゃ意味がない。試合に今まで出るチャンスがなかったから伸びていないように見える子だっています。

今までチャンスがなかったから輝けなかった子もいます。「サッカーをする」って、「試合にでる」ということと同義だと思うんです。たくさん試合の機会を与えて自分の可能性を磨いていってほしい。だから、どんな試合でも必ず交流戦も組んで、より多くの子が試合をできるように心がけています。

どこにいっても活躍できる人間に

ーーー徐々に自信をつけていくと、子供たちは変わりますか?

山崎
そうなんです。最初は自信がなくても、試合や練習を重ねることで、だんだんと自分に自信がついてきて、それがプレーにも表れてくるんですよね。今、試合の後はLINEで自分ができたこと。
できなかったことを書かせているんですが、そのフィードバックを見ると、すごくよく考えているなと思います。

ーーー子どもたちの意識が高まっているのが分かりますね。

山崎
短い子もいれば、すごく長く書いてくる子もいて、中には僕が言ったこと以上に詳しく調べて、海外のサッカー事情まで理解している子もいます。ゲームを通じて学んでいるんでしょうね。サッカー用語なんかも自然と身についていて、僕も新しいサッカー用語をあえて使うようにしています。

『リバプールのシステムと同じことをやっているんだよ』とか、『君たちは久保(※久保建英選手。編集部注)と同じポジションをプレーしているんだ』と言うと、それだけでモチベーションが上がる子もいるんです。そういうのが成長に繋がっていくんじゃないかなと思っています。

ーーーそのモチベーションが結果にも繋がっていくんでしょうね。

山崎監督
そうですね。結果が出ると、さらに自信がついて、もっと頑張ろうって思えるんですよ。だから、その積み重ねが大切なんです。自分が直接言わなくても、他の子が言われていることをしっかり聞いて、自分も取り入れてみようと思える子は、やっぱり伸びますね。

自分が言われていなくても、他の子の言葉をちゃんと聞いて、自分に取り入れている子が成長していくのを感じますね。やっぱり運動能力だけじゃなく、考え方や姿勢が中学生になると変わってきて、それが結果に表れてくるんです。

ーーー監督として、どんな選手、どんな人間になってほしいですか?

山崎
最終的には、その子の人生が豊かになればいいと思っています。
サッカーを通じて学んだことが、どんな場面でも役立つようになってほしい。
リーダーシップや自主性を持って、どこに行っても活躍できる人間になってほしいですね。
それが僕の一番の願いです。

寄稿者プロフィール

JUNIOR SOCCER NEWS統括編集長/事業戦略部水下 真紀
Maki Mizushita
群馬県出身、東京都在住。フリーライターとして地方紙、店舗カタログ、webサイト作成、イベント取材などに携わる。2015年3月からジュニアサッカーNEWSライター、2017年4月から編集長、2019年4月から統括編集長/事業戦略部。2023年1月からメディア部門責任者。ジュニアサッカー応援歴17年。フロンターレサポ(2000年~)

元少年サッカー保護者、今は学生コーチの親となりました。
見守り、応援する立場からは卒業しましたが
今も元保護者たちの懇親会は非常に楽しいです。

お子さんのサッカーがもたらしてくれるたくさんの出会いと悲喜こもごもを
みなさんも楽しんでくださいますように。

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