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四国ルーキーリーグ NEXT GENERATIONにかける思い 高松商業高校 川原寅之亮監督インタビュー

いよいよ、四国ルーキーリーグ NEXT GENERATION 2022が6月12日に開幕予定です。
県外の強豪チームと対戦することができ、U-16の選手たちにとって貴重な経験を重ねることができる このリーグ戦への思いを、四国ルーキーリーグスタート初年度から毎年参加されている高松商業高校サッカー部 監督 川原寅之亮 先生に伺いました。
(取材 水下真紀・文章 choco)

お話を聞かせてくれた人

高松商業高校サッカー部
川原 寅之亮監督
<指導歴>
高松北高校(9年間)
高松商業高校(2022年度で6年目)

うまくいかないことが個の成長に繋がり、チームをまとめる

ーー四国ルーキーリーグのスタート当初と今を教えていただけますか?

川原先生
四国ルーキーリーグは、関西、九州などでルーキーリーグを手掛けていたBlue Wave 伊藤さんが地元の四国でも展開したいとの思いから2016年創設され、私が母校である高松商業に赴任した2017年、リーグが本格始動するに際し、参加させて頂く事になりました。

当時はスタートしたばかりで「さぁ、今後このU-16ルーキーリーグはどうなるのか?」という感じだったと記憶しています。
気がつくと全国にルーキーリーグが次々と立ち上がり、今やルーキーリーグなしでは高校サッカーを語ることができないと言えるくらい、大きな立ち位置になってきているなと感じています。

ーールーキーリーグを経験することで、子供たちやチームにどんな影響があると思われますか?

川原先生
「ルーキーリーグって始まる時期が早いんですよ。最初は非常にうまくいかない。

高校に入学してきたばかりの選手たちが「うまくいかない」ことを最初に経験できる場が、このルーキーリーグだと思います。そして、この「うまくいかない」ということが早くチームになれるきっかけになるんです。
この体験を通し、個人の成長がその先のチームの勝利に繋がっていきます。
そういうことをこれまでも目の当たりにしてきました。

先日行われた卒業式の時に、今年は何人もルーキーリーグの話をする子がいました。選手権の全国大会に行かせてもらったのにです(笑)。
ルーキーリーグでこういう経験をしたとか監督にこう言われたとか、選手権の思い出ではなくルーキーリーグの話をする子がいるくらい、衝撃的な経験ができる場なんだなとつくづく感じました。

選手権で全国大会に行くということは、子どもたちにとってかなりの成功体験だと思うのですが、それ以上に高校に入学して最初に経験したことは3年経っても強烈に残っているようです。
うまくいかなかったことが子どもたちに大きな刺激を与え、全国大会で戦うことのできる選手へと成長できるのだなと実感しています。

みんなで育つリーグ

▲2020年度の高松商業高校の1年生たち。彼らは今年インターハイ、選手権を3年生として戦う

ーールーキーリーグは若いコーチが指導を担当されていますね?

川原先生
ここ数年間は若いコーチと一緒にやっていて、昨年度はわたしも口を出さず黙って見ていました。
大会中にうまくいかないことや大変なことがあると、コーチも悩んだり考えたりしていたようで、コーチ自身ルーキーリーグを通して成長したようです。

つい先日まで中学3年生だった子たちが、試合を重ねる毎にどんどん逞しくなっていくというのが目に見えてわかる。
子どもたちにとっても、それはすごい経験になりますが、コーチにとっても大きな経験になっていると思います。
子どもたちと共にコーチ自身も成長することができる、1年生ならではの大会だと感じています。

ーーなるほど、選手たちだけでなく若いコーチも一緒に育つリーグなのですね。

川原先生
はい、高校3年生が受ける刺激と高校に入学したばかりの1年生が受ける刺激は全く違うのかなと感じます。と同時に若いコーチにとっても、このリーグ戦で受ける刺激は大変大きいものだと思います。

昨年度の全国選手権大会に行ったときに感じたことは、出ているチームの上位チームはルーキーリーグの全国大会で上位に入っているチームなんです。
それを全国大会に出場したことで痛感しましたし、高校1年生で経験したことが1年後2年後の成長に繋がってくると感じました。
そういった意味では、若いコーチたちにも今後の成長に繋がると感じています。

四国から全国・世界へ

ーー全国大会との違いを感じますか?

川原先生
全国の強豪校に揉まれて帰ってきたチームは、徳島市立、今治東、香川西どの先生方も全国との差を感じて帰ってこられました。
四国内では圧倒的な勝利でも、全国で勝利することがなかなかできません。
そういう現状も含めて、もっと四国から全国・世界へ通用するような選手の育成やチームのレベルアップをするという目標をしっかり持ってルーキーリーグのレベルを更に上げていきたいと考えているところです。

技術的なことはもちろん、苦しい時にハードワークできるとか、チームとしてどういう風に戦うかとか、いろんな面で高校1年生の段階で既に結構な差があると思っています。
県外のチームとどうやって差を埋めていくかということが現場の課題になっていることも事実です。

やはり中学校から上がってくる段階で足りないものがたくさんあると思いますし、四国から県外の高校やユースへ選手が出て行っているのも現実です。
残った選手でもっとレベルアップしていくことが一番の課題なのかなと思っています。

心身ともに成長するリーグへ

ーールーキーリーグを通して子どもたちに期待していることはありますか?

川原先生
県外チームとの競った試合を勝ち抜いていくというレベルの高い試合を通して、高校入学後、早い段階でいろんなことを身に着けられることもルーキーリーグのいいところだと思います。

それだけではありません。大会運営していただいている方やレフリーなど、いろんな方と出会えますし、県外チームのマナーやルールなどを見て学ぶことができる場でもあります。

本来ならトップチームに入って県外遠征に行った子だけしか経験できないようなことを、見たり経験したりできる貴重な時間です。

子どもたちにとってサッカーだけでなく、大人への成長を促す機会であり、日常生活や学校生活が変化するようなきっかけになるのではないかと感じています。
ルーキーリーグを通してサッカーのレベルを高めるとともに、子どもたちが心身ともに成長する育成の場であり続けることを願っています。

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寄稿者プロフィール

JUNIOR SOCCER NEWS統括編集長/事業戦略部水下 真紀
Maki Mizushita
群馬県出身、東京都在住。フリーライターとして地方紙、店舗カタログ、webサイト作成、イベント取材などに携わる。2015年3月からジュニアサッカーNEWSライター、2017年4月から編集長、2019年4月から統括編集長/事業戦略部。2023年1月からメディア部門責任者。ジュニアサッカー応援歴17年。フロンターレサポ(2000年~)

元少年サッカー保護者、今は学生コーチの親となりました。
見守り、応援する立場からは卒業しましたが
今も元保護者たちの懇親会は非常に楽しいです。

お子さんのサッカーがもたらしてくれるたくさんの出会いと悲喜こもごもを
みなさんも楽しんでくださいますように。

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